君は宝石のようだな。

星空をその瞳に全て取り込んで、輝きを詰め込んだみたいだ。

最も、その宝石を抱いている俺こそが、君以上に君を手にする価値がある美しさを持っているのだけれど。

そんなナルシシズムに満ち溢れた彼の言葉は、どうしてだか嫌いじゃない。
滅多に自分以外の人を褒めない彼が、こんな甘くてクサイ台詞を言う事こそが最大の賛辞であるのだから。

ユダの髪はいつも綺麗なピジョンブラッドに染まっていて、肌だって女以上に気を使ってる。
服は全部丁寧に作られた物ばかりで、彼自身のファッションは少し先を行き過ぎている感は否めないけれど、私に女物のドレスを選ぶその眼は誰よりも肥えている。

、今日はこのドレスだ」

そういって私に自分で選んだものを手渡すと、ユダは化粧台の椅子に腰掛けて私が着替えを終えるのを待ち、自らの手で私に化粧を施す。
化粧水、ベース、ファンデーション。
アイブローを使うその手は、拳法家のそれとは思えないくらいに器用に、完璧な弧を私の眉に描く。

「ルージュはどれ?」
「プラムレッド。ドレスにもメイクにも一番しっくり来る」
「流石」

リップブラシに口紅を含ませて、ユダの手が慎重に私の唇を彩る。
この瞬間が、堪らなく好きだ。
好きな人に口紅を塗ってもらうのって、なんだかセクシーでぞくぞくするから。
唇を辿るブラシの感触がキスよりも甘いと感じる私はどこか壊れていておかしいのだろうか。
否、私が壊れているというのならば彼も同じだ。

補足するが壊れているのは、彼の化粧やファッションのことじゃない。
男の人がメイクをしてはいけないなんて決まり、聞いたことはない。
壊れているのは、愛情の形。
愛する者を飾り立てていなければ愛せない、美しいものでなければ抱くことができない、彼の歪んだ愛情だ。

そんな壊れた愛ですら私は欲しいと思うのだから、救いようが無いとしか言えない。

「できたぞ」
「ちゃんと綺麗になれた?」
「ああ。おれを愛するには十分な美しさだ」

満足げに微笑んで、ユダは私の手を取る。
今日は何をすればいいのだろうか。
機嫌がいいようだから、一日中隣に座っていろと言われるかもしれない。
退屈だけれど、言うことを聞かないと直ぐに拗ねて怒り出すから、聞いてあげることにしよう。
どうせ私も壊れているのだ。
今更何を抗うことがあろうか。
この歪んだ愛を受けることに、何の不満も無い。

「行こう、
「ええ」

罅の入った愛しい人よ、今日もそうして御機嫌でいてね。






とってもどうしようもないユダ夢;ファンの方にぬっ殺されそうな予感がもさもさします。
彼は誰かをほんとの意味で好きになれそうにないので、こんなイッちゃってる夢になってしまいました。
こ、今度は甘い夢をがんばりたい!!…今度は!

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