「ジュウザ、あれ!!あれ見たい!」 彼女――が指差したのは洒落た小物屋だった。 「何見んだ?」 答える彼女の目は俺ではなく、目の前の店に釘付けだ。 (まぁ、甘やかす俺もダメだけどな…) 店の扉をご機嫌な様子で開けると、ドアベルが鳴り終わる前には小物のコーナーにまっしぐらだ。 女の子が好きそうな店で、俺は特にやることが無い。 「なーに唸ってんだ」 急に声をかけられたので驚いて振り返ったは、口を尖らせて文句を言った。 「…それ、欲しいのか?」 問いかけると、は非常に未練がましい顔で俺を見て、もごもごと答えた。 「や、その、別に…」 思いっきり欲しいと顔に書いてあるのに、顔に書いてある見えない文字とは別に正反対な答えを出したは、そろそろ出よう、と言って俺の手を取った。 「おーい、いいのかあれ」 無理矢理頷いて、は店を出て通りに出た。 「ったく、あっちに行くっつったりこっちに行くっつったり…」 少し拗ねた様子のの顔には、まだでかでかと「あのネックレス超欲しかった!!」と書いてある(のが俺にはよーく見える)。 「なぁ」 突然待っていろと言われて少し戸惑った様子だったが、はおとなしく俺が指差したベンチに座った。
「あれ?ジュースは?」 アホ、気づけ。俺の持ってる袋に! 「?ジュウザそんなの持ってたっけ?」 俺はの質問に適当に答えて、持っていた袋を差し出した。 「ほらよ」 差し出された袋を、は手にとって恐る恐る開けた。 「!これ、さっきの!」 は目をきらきらさせて袋から取り出したのは、さっき彼女がうんうん唸って未練たらたらで諦めたネックレスだ。 またこいつを甘やかしてしまったわけだ、俺は。 「ジュウザぁー!ありがと!めちゃ好きー!」 は感動したのか今日一番の笑顔を俺に向けて抱きついてきた。 (あーちくしょう) (かわいいわ、やっぱ) 猫かわいがりと言うなかれ、甘えられるのは嬉しいもんだ。 喜ばれるのもまた、然り。 こういうのも悪くない。 「ほら、次はどこ行くんだ?」 身体を離して手を差し出すと、はぱっと顔を明るくさせて俺の手を取った。 エスコートは任せとけ、お姫サマ。 我儘姫のお気の召すまま |
ジュウザはデートすると色んなトコ連れてってくれそう!
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