静かな草原で瞑想をしていると、背後から女の声が聞こえた。 「…か。何のようだ」 振り向かずに目を閉じたまま尋ねると、は何が可笑しいのか小さく笑った。 「うん、特に用は無い。たまたま君が座っているのが月桂樹の下だったから、なんとなく声を掛けてみたんだ」 にべもなく言い放つと、は大げさに溜息をついて、なぜか俺の隣に座った。 「…君は本当に固いな。もう少し肩の力を抜いても悪くないと思うぞ、ラオウ」 君に心配されるほど困窮してはいないよ、と笑って、は草むらに寝転んだ。 はおかしな女だ。 静かに時間が流れてゆくなか、またが口を開いた。 「…月桂樹は」 目を閉じていてもがこちらを向いたのがわかり、俺は半ば意地になってそれを無視しようと試みた。 「ギリシャ神話では、太陽神・アポロンに求愛され、それを拒み逃げ惑ったダフネが姿を変えたものだと言う」 その話が今どう関係するのか理解できず、そのまま瞑想を続けていると、が呟いた。 「皮肉だね。戦いの神とされるアポロンも、たった一つの恋を勝ち取ることはできなかった」 いい加減鬱陶しくなり、仕方なく早く話を終わらせようと尋ね返すと、は寂しそうに笑い、答えた。 「君の傍のダフネには想い人がいるよ、アポロン」 目を開いてぎろりと睨みつけるも、は全く堪えた様子もなく、穏やかに目を伏せた。 「すまない、気に障ったのなら謝る」 突然何を言うのかと、俺が思わず言葉を失っていると、はにっと悪戯っぽく笑って噴出した。 「貴様…!」 予想外にあっさりと頷いたに何か裏があるのかと思い凝視するが、は苦笑して俺の不信な視線に答えた。 「そう警戒しなくても、もう来ないってば」 全く真意の掴めないに苛立ちながら、来ないのならばそれでいいと背を向けて、俺は再び瞑想に入った。
それを意味するのがなんなのかわかるはずもなく、俺はただ妙に引っかかるその言葉を無理矢理頭から打ち消して、心を静めた。
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ラオウ夢やっちまいました。拳王様って夢考えるの難しいです。性格壊さんようにするとどうしても悲恋に;
いつか甘夢書きたいです。
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