花のような香りがするの部屋は、いつも整っていて掃除が行き届いている。 会う予定は無かったが、なんとなく会いたくなって彼女の住むアパートまで来て見れば、彼女は嬉しそうに、しかし申し訳なさそうな顔をした。 聞けば提出期限は二日後なのにバイトの所為で全く進んでいない、だから今日はあまり構ってあげられないのだ、と言う。 そんな風に言われてしまえば怒る気など全く起こらないし、元々押しかけたのは俺の方なのだから、気にするなと言うのが当然の流れである。 けれど退屈が拭えるわけではない。 「」 「なにー?」 「いい天気だな」 「んー」 「進んでるのか?」 「んー」 「……」 生返事だ。 想定済みではあるが、癪ではある。 予めわかっていたこととはいえ、存在を蔑ろにされるのはあまり嬉しいことではない。 邪魔したいわけではないけれど、ただ、無性に振り向いてほしくて。 「雑誌、勝手に読むぞ」 「んー」 「コーヒー要るか?」 「んー」 ポットに水を入れて湯を沸かす。 勝手知ったる恋人のキッチンだ。 ドリップコーヒーがどこにあるのか、と俺のマグがどの棚か、砂糖とミルクは入れるか入れないか。 そんなことは聞かなくてもわかる。 俺はブラックで、はミルク一杯と角砂糖が2つが基本。 リビングを見れば、はまだ細い指で忙しそうにキーボードを叩いている。 何故か違う空間に居るような錯覚を覚えて、俺は二人分のマグを手にの隣に座った。 「…なぁ、」 「んー」 「愛してる」 「んー…ん?」 そこでそろそろ何かがおかしいと言う事に気づいたらしい。 はパソコンを見つめていた眼を画面から話して、俺を見た。 やっとこっちを見てくれた。 たったそれだけのことが嬉しくて、どうせならこのまま調子に乗ってやることにした。 コーヒーの入ったマグを渡すと、は眼を瞬かせながらもそれを受け取りありがとう、と言った。 混乱していながらも素直に礼を言う姿がおかしくて、駄目押しに言葉を加える。 「そろそろ同棲するか」 「え、え!?」 「と過ごしたい。毎日」 「ちょ、えっ、は!?レイ、今なんて!?」 「お前とずっと過ごしたい、と言ったんだ」 「…は……!?や、嬉しい、けど、え…?」 「異論は無いみたいだな。よし決定」 の顔は赤くなったり青くなったりと変化に忙しい。 思った以上に面白い反応をしてくれたことと、ちゃんと話を聞いて俺を見てくれたことで、胸の中がすっとした。 「と、いうわけでだ」 「なっ、なにっ」 「今はパソコンにお前を譲ってやる。さっさとそいつを済ませてしまえ、ほら!」 ついでに攫ったの唇は大目の砂糖で甘ったるくなったコーヒーの味がして。 「ご馳走様」 「にが…ブラック…」 「甘かったぞ?」 「〜〜〜〜〜〜〜っ!」 あまい、にがい |
レイ夢現代風。
初めて夢小説っぽいものになった!!(うわぁ)
大学生設定ですYO!
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