仕草で10のお題(夢彩斗さまより拝借)
1. 髪をかき上げる(レイ/獣ヒロイン・“IF”Ver)
2. 目を擦る(リュウガ/獣ヒロイン)
3. 座り込む(サウザー)
4. 顎に手を当てる(シュウ)
5. 爪を噛む
6. 振り返る(シン)
7. 眉間に皺を寄せる
8. 足を組む(ジュウザ/獣ヒロイン)
9. 腕を組む(ジュウザ/現代風味)
10.首を傾げる
髪をかき上げる
アイスコーヒーを飲んでいたが、オレを見て尋ねた。「髪、邪魔なんですか?」
「ん?」
「しょっちゅう後ろにやってるから」
「あ…そうか?」自分では気づかないんだが、と答えると、はころころと笑った。
「やっぱり邪魔なんですよ、それ。無意識のうちにやってるんなら」
「む…切った方がいいだろうか」オレが前髪を1房掴んで呟くと、は慌てて首を振った。
「そ、それはダメ!」
「何故だ?」邪魔なのだから切るしかないだろう、というと、彼女は少し口を尖らせた。
「…ううう」
「何が不満なんだ」
「や、だって…」問い詰めると、は少し頬を赤くして答えた。
「髪、」
「ん?」
「髪掻きあげてる時のレイさんは、…その…すごく、かっこよくて、好きだから…」その言葉に、オレは文字通り固まった。
普段あまり積極的ではない彼女にまさかこんなことを言われるとは思ってもいなかったのだ。
可愛いことを言ってくれるじゃないか、と知らず口元が綻んだ。
対して、は赤くなった顔を戻そうと一気にアイスコーヒーを飲んでいる。
それをじっと見ると、はおろおろと視線を彷徨わせた。「……」
「な、なんですか!わ、わかってますよ、変な事言ってるなっていうのは、でもあの、」
「なあ」
「は、はい、」まだ真っ赤な顔のまま、がぱっとこちらを見た。
小柄な彼女の髪が少し乱れている。
テーブルから身を乗り出して乱れたそれを指で梳いてやると、の目がこれでもかというほどに大きく見開かれる。
指通りの良い黒く細い髪を少し手にとって、それに軽く口付けてやると、は口をパクパクさせて今度は耳まで赤くなった。「…オレも好きだぞ」
「え、え、」
「の髪」
「……………!!」見事なまでに硬直したを見ながら席に戻ると、オレはコーヒーを少し飲んで面白いくらいに照れている彼女を見遣った。
金魚みたいに唇を開いたり閉じたりしている様子が可笑しい。「」
「はひ!?」
「トマトみたいになってる」
「わ、だ、誰のせいですかぁぁ!」からかうと思っていたとおりの反応が返ってくる。
のこういう素直なところが、オレは嫌いじゃない。「レイさんのばかー!」
「ああ、わかったわかった、悪かった」
それでも好きなんだろ?
そう尋ねると、はもう何も言わずに小さく頷いた。
「リュウガさんなんかきらい」ああそうか。
「きらいなんだから、」
だったらどうしてお前は俺に縋り付いて泣いているんだ?
「ばかぁ、きらい…!」
俺はお前を愛している。
お前も俺を愛しているから、こうして嫌いだなどと言いながらも大人しく抱かれているのだろうに。「きらい、」
「」名前を呼ぶと、は一瞬泣き止んで目を擦った。
その仕草は酷く幼く愛らしい。
しかしそれでは目が腫れてしまって、明日の朝困るのはだ。
目が腫れたといって水で冷やしている様子が容易に想像できて、強く目を擦るの手を取った。「やめるんだ。腫れてしまう」
「あ、」小さな額に手を当てて前髪を払い、涙を吸い取ってやると、はぱちぱちと数回瞬きをして俯いた。
そして俺の胸にぐりぐりと頭を押し付けて、蚊の鳴くような声で言った。「…きらいなんて、うそ」
「ああ」
「……ごめん、なさい」
「…もう気にしていない。安心しろ」
「きらいにならない?」
「ならん。…」愛している、と囁くと、彼女はほっとしたように柔らかい笑顔を見せて、まだ少し涙の残った目を擦る。
「腫れるといっているだろう」
「じゃあ、もっとキスしてください」首を傾げて、覚えたてのお強請りをされてしまうと、流石に嫌とは言えない。
「…お望みのままに」
瞼にキスを落とすと、の腕がするりと俺の首に回った。
これは仲直りの合図だ。
おそらく、明日彼女が目を腫らすことは無いだろう。
君が目を腫らさないように、涙は全部吸い取ってしまおう。君がもう目を擦らなくていいように、泣かなくてもいいように。
まだ日も昇りきらない朝の空気は澄んでいて清らかだ。
その冷たい空気の中を、早朝の修練を終えて、井戸の傍で水を頭から浴びて汗を流すと、ふと修練場の屋根を見上げて小さく息をついた。「…お前はまたそんなところに座り込んでおるのか」
「あはは、日課なの」屋根の上で座り込んで、ぼんやりと遠くを見ているのは、サウザーと同時期に南斗の修練場に来始めた娘、名をという。
サウザーと同い年で、南斗の修練場に来た頃はよく話しかけてきたのだが、冷たくあしらっているうちに徐々に距離ができていった。
言うなれば、友人ではないが顔見知りよりも近い関係だろう。
元々は踊り子の家系だった者が、何を思ったか拳法家になりたいと言い出して飛び込んできたらしいと人づてに聞いた。
舞踊を習っていたためか、体捌きに無駄がなく型や動きが美しいと、女性にしては中々評価されている。
拳法家のくせにこっそりと大衆音楽を持ち込んで、宴会の時に踊りを披露などしているらしいが、要領がいいのかお咎めを食らったことはないようだ。
その変わっている彼女の癖が、早朝に屋根の上に登ることである。「そんな無駄なことをしている暇があるなら修練しろ。それだからお前は伸びんのだ」
「う…それを言われると…」サウザーの辛辣な言葉に、は苦笑いして頬を掻いた。
「ふん。そう思うなら尚更だ。もっと修練の時間を増やさんと拳が鈍るだけ、遊びでここにいるのなら出て行ったほうがいいのではないか?」
「…きついなあ、サウザーは」続けて突き刺さる言葉の数々に、は困ったような顔でサウザーを見て言った。
「けど、この時間に下にいると見えなくなるんだよね」
「何がだ」
「うん、まあ」
あんたが。
「…は?」耳に滑り込んだ言葉に、サウザーは眉を顰めた。
(今、こいつは何を言った?)
混乱しているらしいその様子に、が悪戯っぽく、どことなく照れた様子で続ける。
「だから。サウザーさ、この時間にいっつも向こうの広場で早朝修練やってるでしょ?ここからだとそれがよく見えるわけ」
(それがどうしたというのだ)
「あたし、それを見てんのが好きなの」
動きが綺麗で、鬼気迫る感じで、とつらつら並べられていく言葉は、ほとんどショートした頭では処理しきれない。
「…馬鹿か、お前」
やっとのことで搾り出した自分の科白に、らしくない、とサウザーは半ば麻痺した頭のどこかでそんなことを思った。
は、しかし嬉しそうに笑って屋根の上から音もなくふわりとサウザーの前に降り立つと、くっ、と首を傾げて自分よりも20センチほど背の高い男を見上げ、腰に手を当てて言った。「うん、馬鹿かも」
少し唇を吊り上げる、その笑い方が数年前よりも遥かに"女"のそれになっている。
その"女"の手がするりと伸びて、濡れたままの男の道着の襟を掴んで引っ張る。
は自分も背伸びして顔を近づけると、にっと笑ってはっきり告げた。「こんな女の扱いもなってない男に惚れちゃってね?」
「…なっ……!?」そのまま男の唇の端に軽いキスを落とすと、はするりとサウザーから離れた。
自分がされたことを理解したサウザーがかっと頬を朱に染めてを睨むと、彼女はしたり顔で肩を竦めて見せた。「っ…!!貴様!、何の真似だ!!」
「キス。フレンチだから挨拶みたいなもんよ」
「そういう意味ではない!!ふざけるな、貴様…!」
「ふざけてんのはあんたの反応でしょ。女にどこまで言わせる気よ。あーでも、そういうとこが好きなんだから仕方ないか」
「っっっ……!?」口をパクパクさせて固まっているサウザーに、は少しはにかんで、今度こそ踵を返した。
「ま、返事は今度でいいや!今日はもういっぱいいっぱいみたいだし?あたし気長だから、遠慮しないでゆっくり考えてね」
「なっ…な…!」が二の句が告げないでいるサウザーを振り返り、思い出したように口を開いた。
「そうそう」
「!な、なんなのだ今度は!?」
「前から思ってたんだけど、あんたの修練してるところってこん中じゃ一番かっこいいと思うわよ?Sexyで!」今度からは座り込んでばっかじゃなくて、攻めてみることにしようかな。
そんな科白が聞こえてきて、サウザーは更に顔に血が上っていくのを感じた。(なんだ、なんなのだこれは!こいつは!)
それを見て、は去り際に満足げな顔をして、サウザーを指差し言い残した。
「I like this look too, boy.」
"あんたのその表情も好きよ、ボーイ"
何か考え事をしているとき。
困っているとき、言葉を捜しているとき。あなたはそうやって、顎に手をやる。
その仕草でわかる。
何か考え事をしているか、困っているか、言葉を捜しているのか、あなたのその行動原理はこの3つに絞られる。「わかりやすくていいわ」
「そうか?」
「そうよ、シュウ」光を失ったあなたが、私の声だけで機嫌がわかると言ったように、私もあなたの仕草で何を思っているかの見当がつくの。
「そして大抵、下らないことで悩んでいるんだろうな、ってこともね」
「これは手厳しいな。では今私が何を考えていたのかも、わかったのか?」髪を撫でる手の温もりに目を閉じて、私は少し考えているフリをしてから答えた。
「…南斗が瓦解したことの責任云々?」
「!」
「当たり、ね」身を強張らせた男の頬に手を添えると、諦めともつかないような溜息が聞こえた。
「…参ったな。君には隠し事は出来ない」
「世界で一番鋭いものが何か知ってる?」
「さあ、なんだい?」
「女のカンよ」それは怖い、と私を抱きしめて、あなたがまた溜息をついた。
「やっぱり下らないこと、考えてるのね」
「重大なことだ。…私には、とても」
「…あなたは責任感が強すぎる」秩序を失った世界は、それがかつてどれほど統制されていたとしても必ず崩れ落ちていくものだ。
罅が入って壊れ始めたダムや、倒れ始めたドミノと似ている。
南斗が乱れたのもこの世界が狂ったからであって、誰か一人の責任にはならない。
人的要素が原因であれば、その責は戦に向かう歯車を止められなかった人間全てが負うべきだ。「そう…だろうか」
「ええ、そうよ。あなただけが悪いんじゃない。だからもうそんな顔をしないで。自分がどんな顔をしているのかわかっていないでしょう?」
「そんなに酷い顔をしていたか?」捨ててやろうかと思った、と答えると彼はようやく笑った。
「それはまずい。君に愛想を尽かされてしまってはいけないな、」
「ご機嫌をとってくれる?」
「ああ、もちろん。そうだな…」苦笑して、彼はまた顎に手を当てる。
おそらく、今度はどうやって私の機嫌をとろうかと考えて。
爪を噛む Coming soon....
「シン」名前を呼ぶと、あなたは必ず振り返ってくれる。
「なんだ」
「別に」
「なら呼ぶな」そんなことを言うけれど、やっぱり名前を呼ぶとあなたは振り返る。
「シン」
「今度は何だ」
「別に?」首を傾けてからかうように笑んで見せると、少しむくれて面白くなさそうに前を向く。
「ねえ」
「うるさいぞ。お前と遊んでいるヒマは無いのだ」そんなこと言っても、ほら。
「ねえ、シン」
「何だ鬱陶しい!」きらきらと綺麗な金髪を靡かせて、あなたは私を振り返る。
「やっぱりこっち見てくれた」
「………っ、貴様が呼んだのだろうが!」
「うん、そうね」肯定すると、シンは顔を真っ赤にして怒った。
ああ、その顔、好き。「用も無いのに呼ぶな!わけのわからん女だ、まったく」
「用ならあるわよ?」
「だったら、さっさと言え」
「聞きたい?」
「言え!」
あなたが私を振り返ってくれるようにするため。
「…!」ああ、その驚いた顔も好き。
言ってしまえばあなたの全てが好きなのだけど。"Guardi indietro me, bambino."
こっちを振り返ってよ、ベイビ。
足を組む
のスカートは膝上10センチだ。
いわゆるミニスカだ。
彼女の恋人でオレの兄貴のリュウガが買い与えたらしいそれに、オレは心の中でぐっと親指を立てた。
グッジョブ、リュウガ。
若い娘の生足はやはりいつ見ても眩しいものだ。
しかもこのちょっと可愛い目のは、痛々しい傷こそあるものの中々イイ足をしていて、太ももの白さには男連中の中でも定評がある。
オレもそれに頷いた一人だ。
ちなみに他の男はうちの連中。何が言いたいのかって?
つまるところ、は膝上10センチのミニスカで足を組んでいて、そんなことしたらどうなるかなんて誰でも想像が付くはずだ。
太ももの延長、足の付け根、つまりパンツが見えそうで見えない黄金ポーズ。
このイエローゾーンを、オレはチラリズムの絶対領域と呼んでいるのだが(そこ、どうでもいいとか言うな)、この見えそうで見えない、が物凄くオイシイ。
なんていうの?
目に見えないものを追い求める冒険心を駆り立てるって言うか、男の探究心をそそるロマンって言うか、なぁオイ?
やっぱミニスカは男の永遠のロマンだと思うぜ、うん。(とリュウガに言ったら馬鹿か?とか言われた。あいつは絶対オカシイ)「…もうちょっと足を、上に、こう…」
顔を微妙に傾けてスカートの中身を見ようとしていると、がぱっと組んでいる足を元に戻してこちらを睨んだ。
「ちょっとジュウザさん!」
「くそ、惜しい」
「惜しいじゃないですよ!!どこ見てるんですか全く、」
「のパンツ」
「あほー!!」ぶん、と振り下ろされた平手をかわして、風に靡いたスカートに目をやる。
ぜんぜん見えない。
いや、フトモモもいいけどな、フトモモも。「いいじゃねーか、減るもんじゃないし」
「減らなくてもダメです!」
「ケチ」
「いや普通だからコレ!!」
「じゃあそんな短いスカート履くなっての。男、それだと見てもいいですよって言ってるもんだと取るぞフツー」
「何ですかその男だけに通用する理論は!!」ぎゃんぎゃんと喚くのお説教を聞くのはごめんだ。
まあパンツ見せてくれたら聞いてもいいけど。
…それは冗談として。「そうカッカすんなって、bambina?」
まだ怒っているの傍らをすり抜けるついでにスカートをぴらっと捲ると、素敵な目の保養が飛び込んできた。
「ぎゃー!?」
「うむ、今日はピンクのフリルつき」
「なにが"うむ、"じゃー!!」怒りの雄たけびを上げるピンクのフリルつきのパンツの娘からオレはさっさと逃げると、顔を真っ赤にして怒る彼女に去り際に言ってやった。
「今度は赤のレースにしとけよー。脱がせてやっからー」
「誰が履くかああああ!!」
「ぎゃっはっは!あーおもしれえ」ついでに今度は膝上15センチのミニスカで足を組んでくれると更にウレシイ。
もちろん、オレの前限定、で。
「」
「…」
「なあ、」
「知りません」どこからどう見ても喧嘩している真っ最中のこの状況で、悪いのはもちろんオレだ。
2週間振りに会うというのに約束を忘れて遊んでいて、待ち合わせに一時間半も遅れたから当然ではある。
一緒にいたのが女ということが更にまずかった。
どうにか修羅場は逃れたものの、怒った彼女は先ほどから目も合わせてくれない。
いくら呼びかけても腕を組んだままそっぽを向いている。
仕方ないとも言えないことはないが、このままでは気まずい雰囲気で出かけることになる。
それはやはり嫌だ。
そういうわけで、どうにかして機嫌を取らねばと先ほどから下手に出ているのだが、どうも効き目が無いらしい。
待ちぼうけを食らったおかげで相当お怒りでいらっしゃるご様子だ。「」
「…」
「…悪かった。今日はどこでもお前の好きなところに連れて行ってやるから、機嫌を直せよ」
「…」正直なところ、オレはが怒っているところも嫌いじゃない。
口を尖らせて胸の上で腕を組んでいる姿は、ワガママを覚えたシャムの仔猫のような感じで可愛らしい。
安い餌なんか食べたくないワ、みたいな…それはちょっと微妙か。
しかしまあ、それを言うと怒りが悪化するだろうから、ここではあえて余計な口を閉じておく。「バカ」
「…悪ぃ」
「約束破り」
「反省してる」
「女好き」
「認める」
「スケベ」
「…そこも認める」
「……ジュウザなんかハゲちゃえ」
「いやそれは困る。ホント、悪かった。ゴメンナサイ、もうしません、マジで」男性ホルモンの分泌が盛んな男ほど禿げるのが早いからあながち間違ってはいないかもしれないが、いくらなんでもこの年でハゲは勘弁してほしい。
せっかく美男子に生まれたんだからもっと若いままで居たい。「悪かった、謝る、このとーり!だから、機嫌直せって。なんでもするから、な?」
「…他に言うことは?」ちらり、とが視線をオレに向けた。
その仕草で、お許しが近いことがわかる。
腕を組んだままの彼女を後ろから抱きしめて、斜め後ろから無理やり視線を合わせると、言うことはもちろん決まっている。「…オレの一番はお前だけだぜ、」
「……よし、許す」その台詞と険が取れた表情を見て機嫌を直してくれたことを確認して、解かれた腕を自分の腕に絡ませると、は目を丸くしてオレを見た。
「どうせ腕組むなら、こっちの方がいいだろ?」
「…!」その言葉で、はぱっと花が咲くように笑った。
「さ、どこ行く?」
「じゃあまずは買い物。そのあと海で、最後はおしゃれなレストラン。おごりね」
「…リョー、カイ、デス」お財布がちょっとキビシイが仕方ない。
ここは涙を呑んでご機嫌を取るべきだ。
男に二言は無い。「ほら、行くんでしょ?ぼーっとしてないで」
「はいはい」が俺の腕を引く。
組んだ腕は、彼女が試着室に入るまではおそらく解けないだろう。「お、今腕に胸当たった」
「はあ!?このバカ、スケベ!ハゲろ性欲魔人!」
「お前それちょっと酷くねえか…?」…多分。