もの


妙に男に人気があって、やたらと人と触れ合う。
笑顔を振りまいて、いつも明るく振舞っている。

その一方で、俺には冷たく、触らせようともしない。
笑顔なんか見せやしない、口を開いても二言三言。

酷く不愉快だ。


「何」
「何故避ける」
「別に」

全く俺のほうを見ないで答えたに、俺は苛立ちが募っていく。
こいつは俺のことなど見やしない。
不愉快だ、とても。

「貴様、何処を見て話をしている!」
「わっ!?ちょっと、シン!」

腹が立って腕を掴んで無理矢理振り向かせると、の頬は何故か少し赤く染まっていた。

「…」
「っ、見ないでよ!」
「!」

はっとして手を離すと、は腕を擦りながら俺に背を向けた。

「か、風邪!そう、風邪なの!だから、」
「その割には組み手で元気に5人倒していたが」
「ちっ、違う!あれは、違うったら!!」

あんまりな言い訳に、俺はもしやと一抹の可能性に思い当たった。

「…おい」
「なっ、何」
よ、お前、まさか俺に惚れているのか?」
「…!!!」

まさかとは思うが、そのまさかかもしれないと思い尋ねると、の耳までが赤くなった。
それを見て、俺は確信を得て優越感に浸りながらに近づいていく。

「いい迷惑だな、全く」
「…」
「やたらと突っかかるものだから、随分と手を焼いたわ」
「…う、」
「そうか、そういうことか」

俺は一言口を開くたびに、は震えながらぎゅっと拳を握って俯いていく。
振られたと思っているのか。
それも当然だろうが。
だが、それはが勝手に思い込んでいるだけだ。


「!」

近くにいるのに小さく見えるその身体を、俺はぐっと抱きしめた。

「これからは常に俺の傍にいろ」
「…!え、」
「男と話すな、あまり触れ合うな。やたらと笑顔を振りまくんじゃない」
「…シン、」

さっきとは違う意味で震えている身体を抱え込み、耳元に顔を寄せると、はぎゅっと目を瞑った。
わざと耳に触れるか触れないかの位置にまで近づくと、俺は唇を寄せて囁いた。


「お前は俺だけのものだ」


少し跳ねた身体は、今後俺だけが触れられるものになる。


シン夢です。今回は強気なKING様にしよう!と思って書いたら、今度はヒロインがいぢめられっ子。
うちのKINGたまのイメージはお人形遊びのやばい人と南斗ラブ一代男の両極端。

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