話してるとドキドキするとか、顔を見るたび胸がぎゅっと締め付けられるとか、会うだけで嬉しくなれるとか。
ちょっと指が触れるだけで全身が蕩けそうになったりとか、話しかけてもらえただけで一日が最高になったりとか。
これは恋してる時にしか出来ない、貴重な体験だとあたしは思う。
そういうのをずっと感じていたい、見ているだけで幸せ、そういう子だって居る。
でも、あたしはいつまでも見てるだけなんて嫌だ。
「ぶつかって砕けてこそ青春、そう思うの!」
「ふむ、それは俺も賛成だ」
アイスティーを飲みながら同意してくれた幼馴染殿に感謝して、あたしは安堵した。
ここでそう思わないと言われたら、これから先が苦しくなるから。
「そう、それは良かったわ!」
「で、。相手は誰なのだ?」
「誰だと思う?」
質問を質問で返してやると、シンは首を傾げて考え始めた。
「お前と仲がいいのは…レイか。あいつではないのか?」
「違うねー」
年の頃は同じくらいなんだけど。
「む。ではシュウか?」
「何で」
「年上が良いとかどうとか以前言っていただろう」
「うーん、まあそうだけど、違うね!」
確かにあの癒し系の雰囲気は捨てがたいけど、あの人は既婚だ。
「ケンシロウ」
「人のものに手を出すほど飢えてないです」
「トキか」
「違います」
「ユダ」
「友達以上にはなれないね」
「ジャギ?」
「ごめんタイプじゃない」
「サウザーか!」
「あの人そういうタイプだっけ?」
「…ぬぅ…まさか、ラオウか!?」
「サウザー以上にそういうタイプじゃないよね」
「くっ…誰だ!?」
シンが他に誰が居た、と悩んでいるのを見て、あたしは苦笑する。
まだまだ、名前が出ていない人が居るじゃない。
「シン」
「なんだ!?俺は諦めんぞ、他に誰が居たか…」
名前を呼ぶと、シンはイライラとまだ上がっていない人の名前を探しながらなにやらぶつぶつ言っている。
面白いけど、これ以上悩ませるのもカワイソウかもしれない。
「シン」
「うるさい、呼ばんでも聞こえてる!」
「だからシンだって」
「わかったわかった、わかっ………は?」
やっとあたしの言葉の意味を理解したらしいシンは、至極単純に聞き返してきた。
ああ、そのびっくりした顔、なんだかやり遂げた感。
でも、まだまだ。
「シン!」
「っ、な、なんだ」
固まっているシンの手を取って、最後の仕上げだ。
「好きだ――――!!!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」
思いっきり叫んだあたしを凝視して、シンは眼をぱちぱちさせて真っ赤になった。
さあ、こい、運命の女神様、恋の神様!!
あたしにとびきりのスマイルを向けて頂戴!!
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