紺碧から緩やかに色を変えて藤色のカーテンを広げた空は、ゆるゆると昇り太陽に染められ徐々に山吹色が混ざった薄青に変化していく。
高台の瓦礫の上で朝焼けを見つめる私の隣では、夫であり南斗六聖拳のうちの一人、シュウが佇んでいる。

寂しいものだ。木も草も、枯れ果ててしまった。

呟く彼の頸に立ち上がり腕を絡めると、閉じられた眼が悔しそうに歪む。
遣り切れない思いでいっぱいになっているであろう男の胸に頬を寄せて、己の体温が少しでも慰めになればと願う。

「そんな哀しいことを言わないで。私が居るわ、シバも居る」
「ああ…そうだな」

希望はあるわ、まだまだ。

消えはしないわ。

「貴方が消させない、そして私も。そうでしょう?」
「……」

存在を確かめるように不器用に回された腕の力強さを腰と肩に感じる。
世界のどこを探しても、私を誰よりも安心させてくれるのはこの腕だけだ。
責任感が強く、お人好しで無骨なシュウの腕だけが、私を無償の愛で包んでくれる。
包容力のある人。

私は貴方に何を返せているのかしら。

いつかに、そう問うた事がある。
心を与え受け止め続けてくれる彼に、私からは何も与えられていないような気がして。
しかしそんな私の憂えた心など、彼はすぐに晴らしてくれた。

私は君が隣に居てくれるだけで、あらゆる苦難をも跳ね返すことができるようになった。
与えられているのは私だ。

その言葉を心の一番大切な場所に閉まって、私は貴方の隣に居続けようと心に決めた。
優しいこの人を守ろうと、二人で愛しい子を護っていこうと決めたのだ。

「シュウ。貴方と共に、私も仁星の宿命を背負う」
「…辛い道のりになるぞ」
「構わない。元より六聖拳の一人である貴方に嫁いだときから心は決まっていたわ」

答えると、シュウは何も言わずに私を抱きしめた。
力強く優しい腕で、まるで壊れ物を抱くように確りと。


「愛している。、いつまでも」

「私もよ、シュウ。愛してるわ」


重なる口付けを誓いにしましょう。

何があっても離れはしないと。

死すらも私たちを別つことが無いように、さぁ

くちづけ

シュウ様夢、ちょいしっとり風味。
タイトル考えたときからこれはシュウにしようと思ってました。
シュウ様にはしっかりした奥さんがお似合いだと勝手に信じております


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