どちらかと言うとチワワだと思うが、とソウガはどうでもいいことを思いながら、の愚痴を聞いていた。 こうなるに至った理由は単純で、いつもの如くリュウガに仕事を色々押し付けられて文句を言ったら更に叱られたが半べそで仕事をしているのを見兼ねて、ソウガが声をかけたわけである。 リュウガとは大抵セットでいじめっ子&いじられっ子のような関係なので、今日のようにリュウガにずばずばと酷いことを言われたがべそべそしながら歩いている様子はそれほど珍しい光景でもないが(それもそれで問題だ)、流石に半泣きの若い娘を放っておくほどソウガは冷たい人間ではないし(曰く)リュウガのようにどえすでもないのだ。 ソウガが話を聞いてやると、は相当鬱憤が溜まっていたようで、次から次へとリュウガに言われたことややられたことをソウガにチクった。 「この間なんか何もしてないのにほっぺた抓られて!何するんですかって聞いたらですよ!?"お前の無駄に幸せそうな顔を見てるとイライラするのだ"だって!ダ●ンタ●ンの浜●よりも100倍えすですよリュウガさんは!!」 は拳を握り締めてぬぬぬ、と怒りを現すも、その姿はどう見てもチワワがキャンキャン鳴いている程度にしか見えない。 「ストップだ、」 と言うかマツゲは関係ない、マツゲは。 「きっと嗜虐趣味でもあるんです確実に。お部屋とかドッキリで調べたら間違いなくムチとかムチとかアブナイ木馬とか出てくるに決まってます!」 背後から聞こえた大人の世界仕様セクシーヴォイスに、は一瞬固まって顔を真っ青にした。 「ないな」 知らんぞもー、とソウガが匙を投げると、が青い顔で助けを求めるようにソウガを見た。 「リュリュリュリュリュリュリュウガさ、」 背後に星か花でも散りばめられていそうな上司のまばゆいばかりの素敵な笑顔に、はまるで某国民的アニメのお化けト●ロが毛をぞわぞわさせたかのような感じで硬直した。 「下マツゲとも言っていたな?嗜虐趣味とか。誰のことだ?ん?」 墓穴掘りすぎである。 「そぉぉかそれほどムチでシバイて欲しいのか。知らなかったぞ、お前がマゾヒストだったとは」 どうにも情けない遣り取りに眩暈がしそうになりながら、ソウガはとりあえずリュウガに言った。 「リュウガよ、その辺にしておけ。流石にカワイソウになってきた」 傍らでシクシク泣き出したを指差して、ソウガは苦笑いしてリュウガに言った。 「ほどほどにしておいてやれ。お前とて部下に"リュウガ様のご趣味は雑用の女の子をイジメること"なんて思われるのは嫌だろう」 ソウガの言葉が効いたのか、リュウガはそれ以上を追求する素振りは見せずに踵を返すと、去り際にめそめそしているに言った。 「サボった罰として、明日は一日、一人で資料室の片付けだ。いいな」 資料室といえばなかなか手が回らずに、少々どころではなく完全にカオスと化している場所である。 「頑張れよ、…」 まだ少しべそをかいているに同情の念を込めた目を向けて、ソウガは溜息をついた。 今日も拳王府は平和である。 |
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無性にソウガと絡ませたかったんですソウガと、ってあれこれ気づいたら狼夢みたいになってるよどういうことかねコレは
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