一昨日に野盗の討伐から帰ったリュウガは、報告と軍議を終えて一日の休みを貰うことができた。 「入れ」 ドアの向こうに声を掛けると、リュウガの予想通りドアが開いてが顔を覗かせた。 「リュウガさん!Trick or Treat?」 完璧な発音の英語なのだが、聞き慣れていない上に何のことかわからず、リュウガは眉を顰めて尋ね返した。 「Trick or
Treat??あれ、聞いてますー?」 目をぱちぱちと瞬かせて尋ねたに、リュウガはむすっとした顔で答えた。 「残念ながら、俺も一応拳法家なのでな。そういう行事は詳しくない」 リュウガの答えを聞くと、は見るからにしょんぼりと肩を落とした。 「…なんと言う意味だ?」 リュウガが決まりが悪そうに聞くと、はああ、と表情を戻して答えた。 「Trick or Treat。お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよー、って言ったんです」 その答えを聞いて、リュウガはふと面白そうなことを思いついた。 「なるほど。と言うことは、俺は悪戯されるのだな」 なんですかそれー、とぶうたれたを部屋に引っ張り込むと、リュウガはドアを閉めて鍵をかけた。 「ひゃ、」 抱きしめられたことで少し頬を染めたが、驚いた様子で振り向くと、リュウガは低い声で続けた。 「何をくれる?」 真っ赤になってうろたえるの髪を除けて、白く覗いた首筋に甘く噛み付くと、小さな身体がびくっと跳ねた。 「!あ…あの…っ、」 ばっと振り向いた恋人の顔が真っ赤になったり青くなったりして声にならない抗議をする様子を暫く堪能すると、リュウガはじたばたと暴れる身体を抱き上げてベッドにおろした。 「は、反則ですぅぅ!」 暴れなくても悪戯されるし暴れても悪戯される。 (どっちにしたってリュウガさんが得するだけー!!?) 唇を奪われながら、結局は抵抗を諦めることになったのだった。
部隊の編成のことで話をしようとリュウガに後ろから近づいたソウガは、目にしたものに噴出した。 「?なんだ」 数十本もの細い三つ編みが作られた後頭部に気づいたリュウガは、ばっと近くと歩いていたを振り返った。 「まさか…!!」 するともそれに気づいてたっと走り出した。 「待たんか阿呆!」
天狼の恋人は、散々悪戯された仕返しをちゃんとしていたのであった。 |
気づかれないようにするために三つ編みに3時間かけたらしいです。ハッピーハロウィン!