いつになく甘えた声で擦り寄ってきたと思ったら、はベッドに寝転んでいる俺の胸元にぺっとりと張り付いて上目遣いで見上げてきた。 「どうした?」 尋ねると、少し頬を赤く染めて頷いた。 「首輪でもつけておくか…」 本当に首輪などつけたら俺の趣味が疑われること請け合いだろう。 (ファム・ファタールめ) 軽い身体を引き寄せて啄ばむように瞼に口付けると、無言で更にキスを強請って俺の肩を指で擦る。 「欲張りだな」 愛嬌があっていい、と囁くと、は本当に猫のように頬を首筋にすり合わせて来た。 人が来たら確実に飛び退くであろうの身体をしっかりと抱きしめて、俺は身を起こした。 ケンシロウはいいとして、トキはを気に入っているらしく、何かと世話を焼いている。 「…」 見せ付けておこうか。 顎を取って唇を重ねると、は何の抵抗もなくそれを受け入れる。 「、話があ…」 口付けの最中に予想通りに入ってきたトキに、は飛び退こうと暴れた。 「な、なななな、何するんですかぁぁ!!見られましたよ!?」
「ねぇねぇ、リュウガさん」
「んー」
「…なんだ、構って欲しいのか?」
「…ん。」
人がいる時のドライな態度とは違い、二人きりになるとこうして甘えてくる。
猫のようだ。
目を離すと何処に行くかわからない危うげなところなんか、まさしく猫だ。
実際最近までは俺の目の届かない場所で行動していたのだから。
「?」
「なんでもない」
ただでさえジュウザに女の趣味が犯罪などと言われたのだ。
そのくせあいつもに手を出しかけたのだから始末に負えないが。
そういえばサウザーにも迫られていた。
男に寄って来られるタイプなのだろうか。
「だめ…?」
「いや」
瞳以外の身体のどの部分も俺よりも小さいが行う仕草は、俺の目にはいずれも愛らしく映る。
愛しているからそう思うのだろうか。
ちょうどが横抱きのような状態になったところで足音が聞こえてきた。
トキか、ケンシロウだろう。
友情や親切心ならばいいが、別の感情ならば話は別だ。
命を奪いかけた負い目があっても、それはまた別の話。
足音に気づいていないは俺に身を委ねて大人しくしている。
「はい?」
あと2秒、1秒、
「〜〜〜〜〜っ!?」
それを押さえつけて口付けを続けると、トキはわずかばかり頬をひくつかせて去って行った。
長い口付けから開放すると、は顔を真っ赤にして涙目になっていた。
「はっきりさせておこうと思ってな」
「何をー!?」
「決まっているだろう」
お前は俺のものだと言うことを、だ。
リュウガ兄がヒロイン呼ぶとき漢字になってる理由は長編でわかります、そのうち。
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