「…リュウガさん?…寝てる…」 そう見えるようにしているだけで、実際には起きている。 そのまま暫く沈黙が流れる。 指ではない。 唇の、感触だ。 飛び起きて抱きしめてやりたい衝動を堪えていると、が静かに囁いた。
久方ぶりの休みに珍しく惰眠を貪っていると、寝室のドアが開いて誰かが入ってきた。
眠っているとはいえ意識はそれほどぼんやりとしていないため、足音で、ああ、が来たのか、とわかる。
目を閉じたまま眠った振りをして様子を伺うと、はベッドに近づいてきた。
しかし、の反応をもう少し楽しみたくて、あえてそのまま狸寝入りを続けると、ベッドが少し揺れた。
がベッドに腰掛けたのだろう。
視線を感じるので、が眠っている人の顔を見つめているのだろう。
あまり見られるとぼろが出そうだと焦っていると、頬に温かい感触が触れた。
これは、もっと柔らかい――
――だいすき、と。
我慢できず衝動的に隙だらけの身体を引き寄せる。
盛大に喚く恋人を宥めながら、溢れ出しそうな想いをぶつけるようにきつく抱きしめて、おとなしくなったに囁いた。
「俺もだ」
コーヒーカップを時速60キロで高速回転させた後の凄まじい吐き気がしそうな甘さ。
バッ、バッカじゃないの自分、妄想しすぎなんだよ!!でも後悔なんかしてねえよ!!
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