カウチに座っている恋人の膝に乗って抱きつくと、お約束のように優しくて長めのキスが降ってくる。

普段はクールにすましているヒュンケルだが、実は意外にこういう甘ったるいキスが好きらしい。二人っきりだといつもこうしてキスしてくる。彼自身が大きく変わったというより、普段偏屈なように見えて根が真っ直ぐだから愛情表現も一度スイッチが入ってしまうと真っ直ぐなんだろう。もちろん他人が居る時はすかした顔していらっしゃる。だから私にだけこうなると思うと物凄く嬉しい。ご主人様だけにしかデレないワンコみたいで可愛いのだ。

「…」
「んー?」
「」
「うん、なに?」
「…なんでもない」

一向に話を進めないヒュンケルに、どうしたの、と尋ねると、名前を呼びたかったんだ、と幸せそうに微笑まれた。

なにそのかわいい行動。私がやるとあざといのに、こいつがやると胸キュンですがな。ボキャブラリーが少ないから代わりにハグとキスというわかりやすい愛情表現で気持ちを伝えてくるのも良い。戦いが終わった後も衰えない、がっしりとした逞しい胸板に抱き込まれると幸せな気持ちで満たされる。少し埃っぽいようなお日様の匂いに癒されていたところでハプニングが起こった。

きゅーーー。

なんとも可愛らしい音が背の高い彼のお腹から聞こえてきたのだ。途端に強くなる腕の力。これは愛情表現で強く抱いているのではない、明らかに照れ隠しだ。

やだ、お腹の音鳴っちゃったよこのコ!

「……………ぶふっ……!」
「笑わないでくれ…!」
「だって、きゅーって!ああん可愛いー!もうなに今のー!」

どうしよう。
努力と計算で美とカワイイを維持している私以上にカワイイのがここにいる。ヒュンケルは顔を少し赤くして気まずそうに眼を逸らしている。なんとも言えない、食べてしまいたくなる顔だ。ああでもここで押し倒してもお腹空いてるとそっちの方が気になるよね。よし、食わせてから襲おう!

「そんなかわいい主張されたらご飯を作ってあげるしかないなー」
「!」

あれ、なんだろう。今、彼の頭にピンと立った犬の耳が見えた気がする。ついでに言うと千切れんばかりに尻尾振りまくってる幻覚さえ見えてきた。漫画的に言うと、空気がぱあっ、ってした感じ?あんまり表情変わらないけど喜んでるのが伝わってくる。本当、なにこの可愛い生き物。

「何か食べたいものある?お肉?お魚?卵?」
「の好きなものがいい」
「じゃあカルボナーラに鶏肉のピカタにしよう。すぐに作るね!」

キッチンに立つと、必ず後ろをついてくるのもいつもの事。そして腰に腕が回ってくるのもいつもの事。

「んん。ヒュンケルくん?」

そして。

「くっついてたらできないよー」
「が料理をしているところを見るのが好きなんだ」
「っっ……じゃあそこにいていいから、ちょっとだけ離れようか」

ダメ?と言わんばかりの子犬みたいな目でおねだりをして来られたら、邪魔だからあっち行っててなんて言えなくなるってもんだ。私の頭の中が“やばいかわいい”の単語で埋め尽くされるのも、いつもの事である。

(ああもうダーリン可愛すぎるーーーー!!)




ハニー、愛を召し上がれ





いちゃいちゃ恋人設定。兄さんをがっつり甘やかす肉食な長編夢主。
無論兄さんのお腹を満たした後は、夢主“が”襲い掛かります。


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