白い砂浜は焚き火に照らされて柔らかい黄色に色を変えていて、喉を潤す椰子の実で作った酒は甘くて素朴な味がする。

ここデルムリン島では大魔王と戦った男メンバーだけの飲み会が時折行われる。
号令をかけるのは大体ポップで、ほとんどはポップにくっついてダイが来るので、ラーハルトも強制参加させられる。島に住むクロコダイ ン・ヒム・時々チウも参加する。アバンは流石に国王としての仕事があるので、五回に一回お忍びで来る程度だ。ヒュンケルは予定が週末 に重なると忙しい恋人との時間を優先することもあるため、出席率は六割程度である。

そんなむさくるしい飲み会で、酔ってへべれけのポップが酒を片手にヒュンケルに絡む。

「で、どーなんだよ、お前。」
「どう、とは…」
「決まってんだろ。 さんと仲良くしてんのぉ〜?」

ポップの質問の意味を理解したヒュンケルは、「行ってらっしゃい。楽しんでね」と言って自分を送り出した恋人を思い出した。どうも こうも、特別に人に話すようなことは無い。

「何も変わりない。…少し飲みすぎじゃないか」

苦笑しながらのヒュンケルの返答に、ポップは「けっ、コレだから美形は!」と勝手な八つ当たりをしてダイの所にふらふらと歩いてい く。ヒュンケルもいつもの事なので気にすることなく酒を口にしたが、二人の仲についての話題は終わらなかった。

「変わりないってのはマンネリってことじゃねえか」
「……まんねり?」
「退屈してるってことだ。変化がなきゃ飽きられるぜ」

ノヴァを伴って珍しく参加していたロン・ベルクが酒を煽りながら口にした言葉に、ヒュンケルは初めて気づいた。確かに自分は から愛を受けており、それに応えているつもりだった。しかし彼女を楽しませようとして特別変わった何かをしたことは無い、というよりどうすれば彼女が喜 んでくれるのか見当もつかない。

このままでは飽きられる、もしかしたら既に飽きられているかもしれない。静かに焦るヒュンケルにクロコダインが呟いた。

「うーむ…ならば刺激が必要だなあ」
「刺激…?」
「まあ特別なことでなくてもいいだろう」

そう言われても何が特別で何が特別でないのか、わからないから焦っているのだ。
すっかり考え込んでしまった若い剣士を面白そうに見ていたロンは、意地の悪い笑みを浮かべて小声でヒュンケルに尋ねた。

「お前らヤる時はいつも家か?」
「…いきなり何を…」
「照れるような年じゃないだろう。どうなんだ」
「……普通は屋内で行うものだ」
「普通ねえ」

ロンはニヤニヤと笑いながらヒュンケルを玩具でも見つけたかのような顔で見ると、酒を煽りながら言った。

「アオ●ン試してみろ」

ロンの台詞を聞いたクロコダインが酒を豪快に噴いた。

「ブフォッ!!ロ…ロン・ベルク殿!!」
「あお…?」
「ウ、ム…まあなんだ、 に聞け。知っていると思うぞ」
「ラーハルト、」
「教えてもらってこい」

意味がわからず友に説明を求めたヒュンケルだが、クロコダインは言葉を濁し、ラーハルトも勝手にやってろと言わんばかりにさらっと あしらう。
その日はヒュンケルにとって、友二人にあしらわれた小さな不満の残る飲み会となった。



翌日、軽い二日酔いの残る頭でパプニカ城の自室に戻ったヒュンケルは、バルコニーの長椅子でブランケットに包まりまどろんでいる恋人 を見つけた。

微風に揺れる髪を撫でて声をかけると、 は眠そうな目でヒュンケルを見上げた。

「ヒュンケル…おかえりー…」
「起こしてすまん」
「んん……。あんたが帰ってきたら起きるつもりだったから」

ぐっと伸びをして息をつき、笑顔で両手を伸ばしてきた恋人の様子に、ヒュンケルは胸が温かくなるのを感じた。

恋人関係になってからというもの、 はヒュンケルの前では大いに隙を見せる。恋人になる以前は何でも自分でやってしまうところもあったが、今ではヒュンケルが手を伸ばせるように自分から隙 を見せてくれるのだ。

ヒュンケルが伸ばされた両手を取って を長椅子から立ち上がらせると、立ち上がった勢いで がヒュンケルに抱きつき、銀色の頭に手を伸ばした。

「…?」
「お酒残ってるでしょ。キアリーで消しとくね」

恋人の二日酔いまでお見通しである。柔らかい光が二日酔い独特の頭痛とだるさを緩和していく。ヒュンケルは目を閉じて酒毒が消えて いくのを待ち、 の手が離れると口元を綻ばせた。彼はこの美しく聡明な踊り子の手がとても好きなのだ。戦場から離れればいつも、この優しい手が彼の傷を癒していた。

「ハイ終わり。ポップに言えばやってくれるのに」
「気になるほどではないと思ったんだ…ありがとう」

素直に礼を言ったヒュンケルに、 もにこにこと嬉しそうに笑った。 で、面倒臭がるフリをしているが世話を焼くのが好きな性質なのである。

しかし、ヒュンケルはここでふと、ロン・ベルクの言葉を思い出した。
彼に対する の態度は大体いつもこんな感じである。笑顔でまったりのんびりと時間を過ごす事が多い。特に喧嘩になることも無い。故に大きな問題があるように思っては いなかったが、もしかしてこの何も無さが、本当に彼女を退屈させているのではないだろうか。

ヒュンケルは思った。一度あの意味不明な言葉の意味を聞いてみようと。

「… 。聞きたいことがあるんだが」
「んー?」
「アオ●ンとはなんだ」

ヒュンケルのぶっ放した台詞に、当然 は固まった。
いきなり何言ってんの。そんなもんラーハルトにでも聞けば教えてもらえるでしょ、と返事をしようとしたものの、 は思い立って言葉を飲み込み、持ち前の鋭い洞察力を働かせる。

相手はヒュンケルだ。この甘いマスクの恋人は引くほどガチで常識や俗世の知識を理解していない。そういう所も可愛いので好きになっ てしまったわけだが…今回も酒の席でからかわれた事すら気付かずダイレクトに質問したに違いない、と。

「…………どこで覚えてきたのソレ」
「意味は知らん。ただロン・ベルクが試せと」

ほーらやっぱり。

「んー……ねえヒュンケル」

唇に細い人差し指を当てて少し考えた後、 はキャビネットからバスケットを取り出して、続いて長椅子からブランケットを手に取った。ヒュンケルが未だに回答を得られず当惑しているのもさらりと無 視して、 はブランケットを畳みながらゆったりと彼に微笑み、提案した。

「今日は森の中を散策しない?」



パプニカ西部、ベルナの森はかつて大魔王が柱を落とした場所でもあるが、柱の跡地の他は今も広大で豊かな森が残っている。足を踏み入 れる人間はほとんど居らず、ルーラで二人が来た以外には人影も無い。深い緑が生い茂り、木漏れ日が木々の間から差し込んで柔らかい光 を生み出している。

「静かで気持ちいいねー」
「そうだな…」

地図で見れば南に位置するパプニカの気候は温暖で、一年を通して温かい日々が続く。特に今は花と緑が最も美しいとされる時期であ る。太い木々に絡まる蔦や、しっとりと包み込むような緑の苔に混じって、白い花がちらほら咲いている。

散策にはうってつけの、美しい自然の風景を恋人とゆったりと楽しめる。旅ではなく娯楽として森の中をのんびり歩く幸せをヒュンケルが 噛み締めていると、ブランケットの入ったバスケットを片手に隣を歩いていた が不意に足を止めた。

「ここまで来れば誰も来ないよね」
「?ああ…人気は全く無い」
「よし。じゃこの辺でいいや」

はブランケットをバスケットから取り出して短い草の生えている箇所にふわりと敷いて、その上に靴を脱いで座る。そしてヒュンケルにもブランケットに座る ように促すと、腰を下ろした男の肩に甘えるように凭れかかった。恋愛初心者の男の鼻腔を柔らかい髪の甘い香りが擽る。

「… 、その…あまり…密着するのは…」
「ん…ふふ、誰もいないから大丈夫」

焦るヒュンケルと対照的に は当然といわんばかりにするりと体を移動させ、大胆にも向かい合うように恋人の膝に馬乗りになると、目を逸らして頬を染める男を見つめ、視線を口元に移 動させて艶っぽく笑んだ。
キスの合図だ。釣られて顔を近づけるが、からかうように細い指が男の唇をそっと止める。

口付けを誘うような視線を向けては、中々触れさせようとしない恋人の行動に戸惑いながらも、ヒュンケルの目は徐々に の唇にのみ集中していく。潤んだ唇は瑞々しく、誘われているのに進めないもどかしさに焦れたヒュンケルが強引に唇を重ねようとすると、今度は両手で頬に 手を添えられて止められる。行動の意味が解らずに切なげに自分を見つめるヒュンケルの耳元に、 が唇を寄せて囁いた。

「…教えてあげる…アオカ●の意味……」
「…!」

囁きついでに耳朶を軽く唇で噛まれて、ヒュンケルの背筋をぞわりと甘い痺れが走った。隙を突いて焦らされ続けた唇が強引に重なって きて、圧し掛かられるままにヒュンケルの身体がブランケットの上に倒される。

「知りたいんでしょ…?」
、待っ」
「だーめ…」

顔を離した の目は、野生の獣のそれだった。


〜美しい森の中の画像をご覧になってお待ちください〜


「ふう…解った?これがア●カン、外ですること」←食った
「今度から言葉で教えてくれ…!」←食われた


の えっちなじゅぎょうをうけた!
けいけんち 423ポイントかくとく
ひゅんけるの レベルがあがった!




 


「野外ってあんまり好きじゃなかったけど、たまにはいいかもねー」
「……………!?」


うちの夢主は肉食系女子ですのでモロ攻です。マンネリ解消できて良かったね兄さん。

ブラウザバックでお戻りください。