Passionate!!の原型が出来たのは2014年秋、仕事帰りの山手線でした。
仕事疲れを癒すために電車内でイヤホンつけてY/O/U/T/U/B/Eでヤ/ニ /ス・/マ/ー/シ/ャ/ルというフランス人のオネエダンサーがハイヒールで踊ってる動画を見て、マジダンサーかっけええ!!と動画 を見まくっていたとき、ふと、ダンサー夢主ってよくね?というぼんやりとした設定が作られました。

で、じゃあ性格は超タフでお姉様系で、見た目もそうしよう。ダンサーって美意識高いからそこも突き抜けよう、とあっという間に夢主の 形が出来ました。
見た目はセクシー小悪魔お姉様、で中身は男顔負けの鋼鉄のメンタルを持ったダンサー・ガール。恋は多くても意外に失敗してる、その辺 は普通の女の子。
ふくらはぎが痛くなっても自己満足のためにハイヒールを履き続けて歩いちゃうみたいな。
いいじゃん、あんまりないっしょコレ、と面白くなってきました。

しかし誰と絡ませるか。そのとき月見里の頭にふと、某ドラクエ漫画のネガティブ・オブ・ネガティブの顔が浮かびました。
……あのネクラ長兄とバリバリ突き進む美女を絡めたら面白いんじゃね?
そんな感じでこのお話が始まりました。


ところで、ダイの大冒険は月見里が小4の頃から愛する漫画で、純粋な多分ファン暦だけなら北斗以上に長いです。夢小説というものを 知ってからは、プロットだけなら山ほど作りました。
しかしそのどれも書き上げることはできず、これもお蔵入りしないかドキドキしながら書き始めました。
おまけにこのサイトも前回の更新から4年近く放置してたっていう……。

でもまあいいや、元々クソマイナーなサイトなんだから今更マイナーが一個増えても誰も怒らないよね!と半分やけくそで連載を始めた 所、意外に反響があってびっくりしました。だって夢小説界では恐らく好き嫌いの激しく別れる夢主設定ですし、間違いなく自己投影型の 方には嫌がられると思っておりましたから。

頑張って完結させて兄さんを幸せにしよう。余裕あったら槍使いも幸せにしよう。
どうせ仕事辞めて家にいるし、時間がある間に書き上げてしまおう。
じゃなきゃ終わるまで何年かかるかわかったもんじゃない。

そんなわけで、日中の暇な時間を全てつぎ込んで一気に書きました。
途中色々結末のアイデアが出ては消えて没になり、諸々ありました。
しかしとにかく終わらせたい。
じゃないと今止まってる他の連載も手をつけられんし、何よりあの不幸イケメンコンビ幸せにしたい!
一心不乱に書き続け、4月22日、ついに長かったお話を書き上げることが出来ました。

本当に本当に、毎日拍手を下さったりコメントを下さった方々のおかげです。
中盤辺り本気で「いかん、復職前に書きあがるんかコレ」と心配だったのに何とか書き終えられたのも、日々の温かいお言葉や拍手があっ てこそです。

ちなみにラーハルトがそのまま夢主を食えて、ヒュンケルがお預けだったのは待った男と待たせた男の違いです。しゃーないしゃーない。

予想以上に後半がしっとりしてしまいましたが、ジャンルがなんであろうとガチな恋愛モノで三角関係入れたらこうなるよね、ということ でお許しください。

最後の2つの結末ですが、ヒュンケルの方はテ/イ/ラ/ー/・ス/ウ/ィ/フ/ト/のLov/e St/oryという曲を聴きながら読むと盛り上がる気がしてます。多分ただの親馬鹿ですが。聴いてみたい方、おそらくようつべにあるので是非お試しください。とっても可愛 い曲です。

ではではここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

それではこの辺で、あとがきを終わります。


2015年4月 月見里キナコ






※以下は長編で関わりの深い男性キャラについての語りです。
暇つぶしにでもどうぞ。



ヒュンケルについて

ダイ大長編では夢主と彼をくっつけるまで時間がかかりますが、これにはちゃんとした理由があります。
いつもヒュンケルをブログでヘタレだのダメ男だのと言っておりますが(愛ゆえにですよ!)、個人的にはそんな数ヶ月そこら一緒にいた だけの女の子にあっさり好きですって自信持って言えるようなキャラではないと思うのです。それにウチの子は他のサイト様の可愛い夢主 ちゃんじゃないんだから、恋愛慣れてるし簡単に守らせてくれないしすぐにどっか行くし。

ヒュンケルというキャラクターはずーっと魔王軍で育って、価値観が人間とずれている自覚があると思います。アバン先生への憎しみから 八つ当たりみたいに殺戮も行ってしまった。で、取り返しがつかないことをして弱っている時に優しくしてくれた子を好きになってしまっ た、だからって自分の気持ちに素直になって好きな子を自分の手で愛して行こうとは考えられない、何故なら沢山の人を不幸にした人間が たった一度大魔王を倒すために戦った程度で許されると思っていないからです。
誰かを愛する気持ちはしょうがないとしても、自分も一緒に幸せになろうって言うのはおかしいだろ。って考え方なのではないかと、月見 里の中ではそういう解釈です。

なので原作直後からそのままゴールインさせることは出来ませんでした。とにかく人間としての見地を広げさせて、物の見方というのは必 ずしも一つではないという事を時間をかけて理解させない限りは、ヒュンケルを一人のキャラクターとして捉えた時に不自然な気がしたの です。それに、グズグズしてばっかりだとタフすぎるうちの夢主が相手では頼りなく見えるし。

その上ヒュンケル本人が最初から幸せになること自体を放棄していますから、好きだー!私もよー!とはならない。メンタルが繊細すぎる ので、周囲もそこにガツンと一言言ってあげることもしない。アバンの使徒の長兄というポジションは、アドバイスがくれる人も怒ってく れる人も少ないと思います。アバン先生自体とも確執があるから、先生どうにかして!って相談するわけにもいかない。クロコダインと ラーハルトはそこそこ腹を割って話が出来る相手でしょうが、クロコダインは人間ではありませんし、ラーハルトは人間としての自分をな いものとして考えています。恋愛?好きにしろ、オレは知らん。って感じ。

結果的に、「お前のこうこうこういう所は人間として生きるなら直したほうがいいよ」と言ってくれるのはポップくらいですが、ポップ相 手ではヒュンケルがそれを丸ごと受け止めることが出来ません。ポップは同じ人間で自分の境遇を理解してくれてはいますが、両親に愛さ れて育った幸せな男の子なので、何もかもまるっと受け止められるってわけじゃない。しかも年下だし。

じゃあ女の子ならどうか。マァムはもっと無理です。彼女はネイル村からほとんど出ずに育ったわけで、さほど多くの人間を知っているわ けではないので、暖かい言葉で包み込んで励ましてはくれますが、そこまでしか出来ません。月見里が個人的に思うに、マァムの優しさが 人によってはどこか甘すぎるように感じてしまうのは、彼女が若すぎて人生経験が浅く、言葉に重みがないからだと思います。信じる道を まっすぐ進めるのは迷ったことも葛藤したこともないからで、それは彼女の魅力ですが、同時に人生経験の薄さは残酷な優しさを生み出す 原因でもあります。多分だけど、5、6年して色んな経験をして、恋も他の誰かとしてみて、そしたらヒュンケル貰ってやれるくらいにな るんじゃないかなと。

エイミさんは恋は盲目状態に陥っているので、冷静な助言が出 来るとは思えません。そんなわけで、ヒュンケルには人間として尊敬できるのはアバン先生しかいないものの、素直に助言を仰げるほど関 係が修復していないため、現状ヒュンケルが人生相談が出来る相手は皆無と言えます。まあそのアバン先生も15年も女を待たしてるわけ だから、恋愛についてはそれほど深い意見を出せそうにはないですが。

戦ってる間だけ一人の個性として自由になれる、そんな人間ですから、戦場がなくなっては自分の存在意義もなくなってしまいます。戦う だけなら彼は地上の誰よりも大きな戦力になる、正に一騎当千でした。けれど武器を置けば身体がやたら頑強なだけの青年です。結果とし て戦士としてなら強さに自信を持っていたにしても、人間の男としての自信は薄くなってしまうのではないかと。自分は人間として生きて いくことが出来るのか、それ自体を悩みそうなほど。

でもやっぱ幸せになってほしい。それはキャラを愛するものとしての気持ちですから、どうにかして幸せにしてあげたい。でも無理矢理原 作直後で夢主とゴールインは違うよね。まだ21やそこらの若造が人間社会に飛び出て数ヶ月で自信もって女の子にアタックとかできるわ けないしね。そんなわけで、一時的に苦しい思いをさせることになりましたが、まずはヒュンケル自身の人生経験を増やす事を目的とし て、お別れさせる道を選びました。

全てはキャラの個性を絶対的に壊さずに話を進めるためですの で、夢小説だから良いじゃん!と言わずにどうかお付き合いいただけていれば幸いです。個人的にはラブラブになったら、とことんくっつ こうとするワンコタイプだと思いますので、短編ではそんな感じのヒュンケルを書いていきたいです。




ラーハルトについて

月見里の思うこのキャラクターは、性格は偏屈で憎まれ口ばっかりですが、ヒュンケルほど自分の過去に負い目はありません。例え戦いに 巻き込んで何人か無関係の人を死なせても、任務だったからしょうがない、で完結します。戦略的に合理的か否か、主君にとって有益か否 か、判断材料はそれだけ。骨の髄まで軍人気質が染み渡っていますので、ヒュンケルと違ってその辺の考え方はあっさりしているものだと 思っています。

また、人間を嫌っているからといって魔族を支持しているわけでもないと思われます。ハーフというのは、以前テレビで拝見したのです が、どちらにも中途半端に受け入れてもらえないのだそうです。ラーハルトも単純に魔族の容姿で生まれたから溶け込みやすいのが魔族な だけで、素性がばれたら魔族からも爪弾きにされたと思われます。

なので彼の場合バランの考えに同調はしたものの、魔族優位の社会を目指すのではなく、バーンの言う強いものが権利を得るという単純な 世界を望んだのではないかと。バランの強さに憧れて地上最強レベルの槍術師になったわけですから、その理念たるや相当なものです。

自分の辛い過去を受け止めてくれる相手に対してそれなりに好意的になるというのは、誰も自分の苦しみを共有してくれなかったからこそ じゃないかな。混血という出自のために人間にも魔族にもなれず、受け入れてくれる相手がバランしかいなかったと推察できます。ヒュン ケルは異種族の中で育てられていた、ある意味よく似た境遇の持ち主で、武器を交えて力で語り合った仲。そりゃ友情も生まれるってもん です。

が、ラーハルトはアバンの使徒や最終戦で仲間になったメンバーみんなが心を許して良い相手と思っているわけではなく、そこそこ辛い経 験をしてきて、相手の気持ちが理解でき、かつ譲らない何かを持っているような人間じゃないと視界には入れても懐に入れないと思われま す。評価基準高いうえに狭い。

ラーハルトは主がいないと生きる目的がなくなってしまうキャラクターですので、当然自分の幸せは基本・二の次です。が、主の安全と幸 せが維持できている間はそこそこ自由に行動できるものとして話を進めました。バランだって呼び出すまで一緒にいなかったし。ダイはま だ小さいので当分付きっきりになるでしょうが、きっとダイが大人になればラーハルトも一歩下がると思われます。

そういうキャラクターだと解釈しているので、誰に対しても遠慮しないし、ヒュンケルほど自分に自信が無いわけでもないかなと。容姿を どうのこうの言われようとも、可哀想ですがおそらく幼い頃に言われすぎて慣れていますから、それがどうした?でおしまいです。不快で はあるでしょうが、悲しいことに彼はそうなってしまっているものとしています。

唯一の地雷は、幼いころに憂き目にあったお母様のように、自分の所為で一緒にいる人間に迫害が及ぶ事だけ。ですがこの点については、 作中で明かしましたが夢主も似たような経験があるので、彼女なら潰れずに立てるだろうと考えたことにしています。目立つ人間の傍に要 ると巻き込んじゃうよね、でもお互い様だよね、という対等な関係を築かせてみました。この辺は人種差別に似た問題ですから、その辺夢 主もよーく理解した上での選択です。ニューヨーカー、人種のサラダボウルから来た女らしく、ハイヒールで堂々と隣を歩いていく予定で す。
三角関係になってしまったのは全てヒュンケルのせい。ありがちな展開でしたがご勘弁を。

個人的には本気で惚れた相手はツンツンしながら甘やかすツン デレ俺様お兄ちゃんタイプだと思っていますので、その後の短編ではそんな彼を書いていきたいです。



ロン・ベルクについて

夢主がちゃっかり居座ったのを追い出すことなく、しゃーねえなーという感じで居候させてくれた魔界の名工。最初は夢主が料理上手だっ たため胃袋を掴んでどうにかなりましたが、オリジナルで作ったあのブーツが履けなかったら、夢主はそのうち彼に追い出されていまし た。

負けん気が強く、踊りを軸に色んなものに挑む夢主の芯の部分を気に入ってくれたものとしています。一つの事に全てを注いじゃう人間っ てなんか共通点があるっていうか、その辺を感じ取ってくださったと思ってください。

上の二人のどっちにも貰われなかったらロンさんオチもアリかと思ったんですが、このキャラは夢主を娘と弟子の中間みたいな存在として 考えているので幻のロンさんオチは無しになりました。でもシブメンは大好き。いつか別の設定で夢書きたいな。


ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございます。

反論やその他のコメントは拍手にて受け付けておりますので、 そちらからどうぞ。