鼻歌を歌いながら、野菜を刻んで鍋をかき混ぜて。街で見つけたシンプルなエプロン をつけてお玉を片手に は調理台に立っている。その後姿を、4度目の逢瀬の夕暮れ時、ラーハルトは何をするでもなく見詰めていた。

恋人となった が料理をしている時の後姿を見るのが、彼の最近の密かな楽しみである。頭の左側で緩く一つにまとめた髪や、エプ ロンで否応なく強調される胸の膨らみや曲線を描く腰はそれだけでも十分な目の保養になるが、実はラーハルトが恋人の体の部位の中で最 も色気があると思うのは胸でも尻でもなく、脚だったりする。

短いスカートから伸びたすらりと長く、引き締まったしなやかな脚線は、ラーハルトがこれまで見た女の中で最高だった。足の長さや太さ は生来のものだとしても、踊りで鍛えた彼女の脚線美は抜きんでている。その抜群な脚を香油だの按摩だので手をかけて更に磨き上げ、美 しく保っているのだから堪らない。しかし性格が捻くれきって口を開けばほとんど毒しか出てこないラーハルトにとって、こんなことは口 が裂けても言えない。そのため半魔の槍使いはお気に入りである彼女の脚を、彼女が後ろを向いている時や、抱いている間にこっそりじっ くり見て愛でているのだ。

主はもちろん、仲間やヒュンケルにすらこんな所は見せられない。そもそも、こういう時に考えていることと言えば『イイ脚だ』くらいし かない。ポップがマァムの胸を見て『イイ乳してんな』と思っているのと大差ない。見るところが脚か乳の違いだけだ。要するに涼しい顔 してみるとこはしっかり見ている、俗に言うムッツリである。無論本人はそのような事実は認めない。

ちなみに はというと、ラーハルトからの視線を感じてはいるものの、それが脚に集中しているということまでは気付いていない。 そんなに見られても料理中だから構ってあげられないんだけどなー、と楽しんでいるだけだ。

「んー……よし。できたよー」

極上の脚を有する恋人の声で、ラーハルトは視線を脚から逸らした。十分見ているのに見過ぎている自覚が無い彼だが、流石に面と向かっ てガン見はしない。それどころか、さりげなく の手から料理を盛り付けられた皿を受け取ってテーブルに置くなどの手伝うふりを して、全然見てませんでした感を演出しようと試みるくらいだ。

しかしラーハルトという男の性格からして、いつもはそんな行動は一切取らないということを知っている人間から見れば、それが如何に不 自然に映るかなど頭に無い。その為、肝心の には、ガン見してたことを誤魔化そうとしてるんだなー、とまあ八割方を読まれてい たりする。が、 もそんなラーハルトの行動を楽しんでいるので口に出さない。

「ありがとね」

などと礼を言い彼の機嫌を乗せつつ、心の中では「お尻でも見てたのかな?すました顔して、しょうがないんだから」と思われているな ど、半魔の槍使いは知らない。

ところで、魔界の名工、ロン・ベルクを始め、彼女に料理を作ってもらった男は必ずと言っていいほど胃袋を掴まれる。ラーハルトも御多 分に漏れず、そうなっている。ラーハルトが の家に泊まりに行くと、彼女は必ず美味しい手料理を振る舞うのだ。魔族が食事をさ ほど必要としないという体質を無視してでも食べたいと思わされるような心の籠った手料理はいつも愛情たっぷりで、幼い頃の不遇を思え ばこそ、彼にこの上ない幸福を齎している。

今日の夕食は鹿肉のシチューにゆで卵とトマトとチーズのサラダ、そしてハーブを漬けた手製のフレーバーオイルでこんがり焼いた麦パ ン。ワインもある。酒の肴に、オイル漬けの魚と、豚肉と鴨肉で作ったパテまである。元より料理が趣味の彼女の手料理は美味だが、そこ に加えてそれを味わえるのが自分だけという優越感もまた、密かにラーハルトを高揚させる一つの要因になっている。

「今日のパテね、市場でおすすめのハーブを使ってみたんだ。自分ではいい感じに仕上がったと思うんだけど、どう?」
「……悪くないんじゃないか」
「本当?良かったー」

ラーハルトのぶっきらぼうなコメントにすら、 は嬉しそうな笑顔を見せる。実際は彼女も、もっと言葉を欲しいと思ってはいるも のの、師のロン・ベルクのおかげで手料理に対するコメントへの期待度がかなり低くなってしまって、『コメントが返ってくるだけマシ』 という何とも悲しい基準で落ち着いてしまっていたりする。

それに は知っている。口下手な男は行動で見ればいいのだと。男は美味しくないと思うものは食べないか、食べても少しだけ。け れど気に入ったものは集中的に食べる。普段は食事中に相手の食べている料理の割合まで見ることはないが、意識的に観察すればわかるの だ。彼女にとって、男の行動観察はお手の物。

そんなわけで には、口では『悪くない』なんて言うくせに、さっきから一人で半分以上もパテ食べてる。あーあーそんなに沢山パ ンに乗せちゃって。気に入ってくれたんだな、また作ってあげようっと。くらい考える余裕がある。


要約すれば、不愛想が板についている槍使いは今、見た目は色っぽい美脚のお姉様で中身はオリハルコン並にタフな踊り子の恋人に惚れ込 んでいる。仲間の前では必死で隠していても、彼女の前では隠しきれないほどに。


「……なんだ」
「んー?綺麗に食べて貰えて嬉しいなーって。お粗末様でした」

ゆったりにっこり微笑みながら、空になった皿を が指差すと、ラーハルトは、フンと鼻を鳴らして皿を片付け始めた。それが照れ 隠しだとばれていることも知らずに。

「量足りてる?」
「ああ」
「そ。多すぎたり少なすぎたら言ってね」

他愛ないやりとりをしながら二人で流し台に皿を片付けると、ラーハルトは再びテーブルに戻り、 は流し台に立つ。皿を洗うため に再び背を向けた彼女の後姿を眺めながら半魔の槍使いは思う。

二人でいる時の は、表情も声も仕草も、友人だった頃とは全く違う、恋人にだけしか見せないものをラーハルトに見せるようになった。かつて友の前で恋の花を咲かせて頬を 染めていた女の笑顔が、今は自分だけのものになっている。しかし果たして彼女は今を幸せ だと思っているのだろうか。

二人で初めて迎えた朝、 は言った。もうヒュンケルへの想いは吹っ切った、今の自分が愛しているのはラーハルト一人だと。それからあっという間に2か月ほど経ち、彼女の家での逢 瀬は今日で4度目だ。その4度の間、彼女は一度たりとてヒュンケルの名を出す事は 無く、かつて友に向けたものよりも更に愛らしい表情でラーハルトを出迎えて、幸せそうに笑っている。

だが一人でいる間はどうだろう。寂しい思いをしているのはなかろうか。独り寝で終わった恋を思い出して泣いてなどいないだろうか。

ヒュンケルより一層捻くれた性格の自分が相手で、不満は無いのか。

迷いながら、ラーハルトはおもむろに気配を消して の後ろに立った。すらりと背の高い上にヒールの高い靴を好む だが、 今日は気楽にサンダルを履いているからラーハルトより頭半分ほど背が低い。髪をまとめているため露わになっている首筋からは花のよう な香りがふわりと漂っている。誘われるように腰に手を回し、無防備な首筋に口付けると、男の腕に抱き込まれた細い肩が跳ねた。

「やんっ……!ちょっと、なに……?」

忘れさせたつもりでいるし、 も友の名は出さない。
それでも彼は思うのだ。
彼女が一番に愛する男には、まだ、なれていないのではないかと。

洗っていた皿を割らないようにそっと置き、濡れた手を流し台の縁に置いた布巾で拭って肩越しに振り向いた恋人は、微笑みながら後ろに 立った男の肩に頭を預けるようにして甘えた声を出した。男の嗜虐心を擽る技術に点をつけるなら、彼女は間違いなく満点を取れるレベル だとラーハルトは思う。そこに計算が入っていようがいまいが関係ない。可愛い、めちゃくちゃにしてやりたい という気分にさせられる。

ラーハルトは恋人の身体を抱き寄せて正面を向かせ、ちょうど腰辺りまである高さの流し台に押し付けるようにして深く口付けた。重なっ た赤い唇からくぐもった溜息が漏れる。恋人が欲情していることに気付いた は、口付けの後再び首筋に吸い付いたラーハルトに囁 いた。

「……だめ、……先に身体洗わなきゃ、」
「昼飯の後で一度汗を流しただろう。待たせるな」
「でも、っあ……!もぉ……」

生理中を除いて、 がラーハルトの求めを拒否したことは一度も無い。抱いて触れれば、快楽に身悶えしては唇を震わせて甘ったる い声で悦びの声を上げるのだから男冥利に尽きるというものだ。とある日のポップ曰く、「頭が良くてちょっとエッチな小悪魔系美女の踊 り子って、 さん最強じゃね?あんなお姉様ほっとくとか、ヒュンケルのヤツ馬鹿じゃねえの?」との事。彼女への想いを隠してい た時期だったため頷きはしなかったが、内心同意しかなかった。ラーハルトの心情を言葉にすると、こんな(脚まで最高の)イイ女を何故 手放したのか理解できない、というものだ。

ラーハルトは を流し台の縁に座らせると、恋人の服を肌蹴させ、温かく柔らかい肌に指を滑らせた。下にずらしたブラから零れた 張りのあるバストを掌で押し潰すように刺激し、首筋に熱い舌を這わせると、愛撫を受ける恋人の甘い声が静かな室内にやけに大きく聞こ える。

「は、ん、あんっ、」

掌の下で尖りはじめた突起をラーハルトが指で弄り、じっくりと愛撫を続ける。流し台から落ちないようにと、反射的に の手が ラーハルトの肩にしがみつく。切なげな声を漏らして男の服を握りしめる恋人の仕草が、確実にラーハルトの雄を昂ぶらせていく。堪らな い気持ちで、脚を抱え上げて太腿の裏側を強く吸うと、しなやかな肢体がびくりと はねた。恋人の肌は仄かに甘い味がして、もっとしゃぶり付けと言われているような気になる。

「っあ!ひあっ……!」

ラーハルトが太腿の内側から外側まで舌で舐め上げると、恋人の唇が甘い溜息を漏らした。擽ったがるのではなく感じているらしい。ス カートをたくし上げて下着の中に手を突っ込んで秘所を指でなぞれば、たっぷりと蜜が溢れている。秘所に指を2本差し入れて反応を見る と、足を舐められる度に濡れた裡がきゅうと締まる。

どうも彼女は脚を舐められても感じる性質らしい。脚好きにとっては願ってもない発見だった。今やラーハルトの思考は、愛しい恋人を脚 でどこまで感じさせるか、という一点にのみ集中していた。恋人の身体の柔軟さを生かして足を更に高く上げて試しに膝裏を舐めると、再 び の裡はラーハルトの指を締め付けた。

飛びかける理性を抑えながらラーハルトが足を責め続けていると、 の腰が強請るように揺れた。見れば は切なげに喘ぎな がら、男の目を蕩けた瞳で見つめている。半開きの唇が誘うように動いた。声には出さず、しかし確実に伝わった、ちょうだい、という言 葉が弾け飛びそうだった男の理性をついに破壊した。

恋人を流し台に座らせたまま、ラーハルトは手早く己の昂りを取り出し、彼女の脚を大きく開かせて槍のような分身で秘所を穿った。これ まで以上の激しい突き上げと、流し台の上で繋がってしまっているという状況に、 もまたいつも以上の快感であっという間に絶頂 に達する。

「っあ!……!!だ……め、ラーハル、ト、あっ、もぉっ……!!」
「っ、しがみついてろ……!」

奥を抉るようなストロークで突き上げられる度に、 の脳内を快感の電流が走り抜けていく。快楽に翻弄されて夢中で抱きつく恋人 の痴態を目にして、ラーハルトは甘い声を上げて仰け反る滑らかな首に何度も口付けながら恋人の身体を強く抱き、彼女の奥を己の分身で 貫いた。

「ああっ!あ、深っ、んあ、また、あ……い、っく……!」

怒張した分身が恋人の裡で強く締め付けられるのも構わずにめちゃめちゃに突き上げる。止むことのない激しい快感で、 の身体は 壊れた機械人形のようにがくがくと痙攣している。

「は、あ……ラーハルト……好き、……」

絶頂の最中、 がうわ言のように繰り返した言葉を耳にして、ラーハルトは彼女を流し台から抱え上げてベッドに仰向けに寝かせ た。こんな不安定な場所では十分に彼女を愛でてやれないと感じたのだ。ラーハルトは一度身体を離して彼女と自分の邪魔な衣服を取り払 い、余韻で身体を震わせていた恋人の長い足を開かせて、再び分身を恋人の奥に沈めた。再び与えられた快楽に、美しい踊り子は妖艶に裸 身を仰け反らせる。

……もっと感じろ……!」

互いの熱い吐息だけが狭い部屋に溶けていく。繋がり合ったまま、愛しい女の身体をラーハルトが抱き締めると、 もまた熱い愛情 をぶつけてくる彼の頭をぎゅっと抱き返した。快感で途切れ途切れになる思考の狭間、彼女は考えていた。この素直じゃない恋人は、まだ ヒュンケルの事を気にしているのではないかと。

自分と同様に、彼もまたヒュンケルの名を口にしない。意識的に避けているのだ。彼の名を口にすることで手に入れた女の気持ちが再び変 わるのを怖がっているのか、それともまだ のヒュンケルに対する気持ちを疑っているのか。どう考えているのかは定かではないに せよ、プライドの高い男だからこそ、感情を口に出せずにいるように は感じている。

ラーハルトの両手が の腰を掴み、激しい責めを再開する。 の脳髄は快感で痺れ、シーツを掴んで嬌声を上げて秘所から駆 け上がる甘い刺激に身をくねらせる。

彼女とて感づいていた。ルーラで一瞬で逢いに来れるとはいえ、踊りの練習で日々疲れて帰ってくる彼女を気にして、ラーハルトが己を自 制していることを。それを裏付けるように、ラーハルトは自覚していないが、逢えない分、彼からのスキンシップは格段に増えている。本 を読む時です ら を膝に乗せた状態でいる。初めの一回は が甘えて始めただけだったが、以降は勝手に抱え上げられて、離れようとする と引き止められるほどだ。

その行動に愛の深さを感じる度に、 の心は満たされていく。けれどそれでもまだ、たったの2か月。与えられる彼の愛情に全て応 えられてはいないことを 自身も分かっている。だからこそ、求めには必ず応じる。料理も作るし、気分良くいられるようにしてい る。素直な気持ちで向き合って、甘えて、口付けて、ラーハルトが想い続けてくれていた時間を埋めるように、愛情を返している。

そして今、ラーハルトは彼女が応えきれず足りない部分を求めている。
より深い心の繋がりを、子供のように。

腰を打ち付け、切なげに眉を寄せている男の表情を目にして、 は軽い絶頂に何度も思考回路を遮断されながら言葉を発した。

「あんっ……あ、手、繋いで……っ……」
「!……」

ラーハルトが動きを止め、腰を掴んでいた青い手が の両手にしっかりと繋がれる。互いに指を絡めて解けないように繋いだ二人の 両手からは優しい温もりが伝わり合う。頬を上気させ額に汗を浮かべて微笑んだ の愛に満ちた表情を目にして、ラーハルトは分身 が膨れ上がったのを感じた。律動を再開させると、恋人は再び瑞々しい唇を震わせて甘ったるい声で啼く。

「ッは、 ……!」
「あ、あん、好き、ラーハルト、大好き……!ああいくっ、んむ……ん……!……!」

指を絡めて交わりあい深く口付けて、恋人の裡が絶頂で一際強く彼自身を締め付けた瞬間、ラーハルトは己の分身を引き抜いて吐精した。 絶頂の余韻に浸る恋人の腹部に飛び散った白濁の量を見て、今夜の行為の激しさを思い返し、はっとする。ラーハルトの激しい責めを受け 続けた は、ベッドでぐったりとしていた。

慌てて手を解き、目を閉じてくたりとベッドに身を預けている恋人の頬を軽く叩くと、 はゆっくり目を開けて、ゆるゆると細い手 を男の頬に伸ばすと、指先でラーハルトの頬をするりと撫でて掠れた声で言った。

「ん……ふふ……いっぱいしちゃった……」

未だに互いの感触すら思い返せるほどの直後に、掠れ気味の色香たっぷりの声で、この台詞だ。
ラーハルトの頭の中で何かが切れた。

「………… 。お前、明日も休みだったな」
「え……?うん、そうだけど……」

がきょとんとして答えるや否や、ラーハルトはかつてミストバーンを倒した時のような自信たっぷりの笑みを浮かべると、恋人の 耳元で囁いた。

「――覚悟しろ。存分に抱いてやる」





計、4回。これが昨夜の回数だ。恋人の素敵な魔槍のおかげで腰がガタガタになるまで抱かれ続けた は、ベッドにうつ伏せで自分 の腰にベホイミを当てながら、腰痛で苦しむ自分に代わって朝食を作っているラーハルトを恨めしげに見つめた。

「……痛いです。腰が。」
「だから朝飯を作ってやっているだろうが」
「加減てのがあると思います」
「煽ったお前が悪い」
「煽ってないー」
「やかましい。……ったく、出来たぞ」

が恨み言をぶうぶう言っている内にラーハルトはゆで卵とチーズトーストとオニオンスープをぱぱっと仕上げてテーブルをベッド の前に運び、身体を起こした と並んでベッドに腰掛けた。独り身が長く、ヒュンケルのモルグのように世話をしてくれるような存 在が居なかったラーハルトは、自炊をしていたために簡単でそれなりに美味しい料理を作れるという。話には聞いていたものの実際に口にするのは初めてだったので、 はスープを一口飲んで声を上げた。

「あ、美味しい!」
「世辞を言うな」
「お世辞じゃないって。んー、ほっとする味だね、すごく好き」
「っ……黙って食え」
「はーい」

ぶっきらぼうに返すラーハルトだが、彼の目が泳いでいるのを は決して見逃さない。怒っているのではなく、単純に恋人に褒めら れて照れているのだ。事実、ラーハルトは先程「卒業したらいつでも作ってやる」などというプロポーズまがいの言葉が喉元まで出掛った のを辛うじて飲み込んでいた。物事には順序がある。恋人との愛情に満ちた営みのおかげで勢いに乗って、危うく求婚までしそうになった 己を律して平静を保とうとしていた彼に、 は続けざまに爆弾を投下した。

「……ふふっ」
「今度はなんだ」
「んー?脚のお手入れ、ちゃんとしてて良かったなーって」
「!?」
「好きなの?脚」
「〜〜〜悪いか……!」

バレていた。正しくは昨日バレたのだが、そんなことはどうでもいい。隠していた性癖を知られてばつが悪そうにゆで卵をもそもそと食す るラーハルトをじっと見つめながら、 は嬉しそうに微笑んだ。脚フェチの人間は、よほどの脚でないと欲情しない。ましてやこの 男が相手ではチェックも厳しいだろう。そんな厳しそうな眼を持つ恋人すら虜にできたのならば、これまで自分がしてきた美を磨く努力も 報われるというものだ。

「甘い味がしたが、何か塗っていたのか」
「うん、ハチミツ入りのオイルでお風呂上がりにマッサージしてるんだ。口に入っても平気なやつ」

ラーハルトは最早バレた以上取り繕っても仕方ないと考えたらしい。ストレートな恋人の質問に が満面の笑みで答えると、ラーハ ルトは自分の分を食べ終えて皿を片手に流しに向かい、背中越しに言った。

「……そいつを切らすな」

ツンデレな恋人のデレ100%の発言に、 は真顔で思った。



Do what U want



(結婚しよ。)




エロかわいい夢主を滅多くそに可愛がりまくる足フェチ槍使い。
この二人は兄さんよりラブラブな気がする。