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隣のお兄さん。
隣に住んでいるカッコイイ幼馴染のお兄さんと付き合う。
それは、女の子の夢じゃないだろうか。
ってか、むしろ。
夢であってください。
リュウガと桐は、つい先日付き合い始めた。
告白したのは、カッコイイけど堅物のリュウガの方だ。
堅物だけど、S属性なので桐は小さな時からイジメられ放題だ。
リュウガにしてみれば、桐をイジメるのは、可愛い妹のユリアを可愛がるのと同等で、かなり重要なポジションである。
しかし、ほっぺたをつねられては泣き、宿題を見てもらっては泣かせられ、
おやつを食べれば食べすぎだと怒鳴られ、一緒に遊びに行っても結局怪我をして帰って来る。
そんな思い出しかなかった。
怪我をすれば怒られながら、背負われた記憶がある。
ブツブツとリュウガは小言を繰り返して、桐は泣きながらこんなヤツのお嫁さんにはならないんだ、と決めていた。
桐の頭の中には、素敵なカッコイイお兄さんと、綺麗なウエディングドレスを着た自分があった。
夢の中でも同じで、自分は素敵なカッコイイお兄さんと結婚するのだ。
そればかりが、夢だった。
お向かいの家にいるシュウ小父さんが、滅茶苦茶若いお嫁さんをもらった時は、本気でずっこけた。
シュウ小父さんは目が悪いけど、昔から優しいいい小父さんだった。
だから、桐も好きで、桐の両親とも交流があった。
一度結婚したけれど、離婚して、今に至っていた。
でも、そのシュウ小父さんがメッチャクチャ若いお嫁さんを連れてきた時は、世の中間違ってると思った。
シュウ小父さんは、実は犯罪者だったんだろう!とあの時の日記には書いている。
桐は、少し結婚へのイメージを崩された。
シュウ小父さんの知り合いのラオウお兄さんが綺麗なお嫁さんをもらった時も、驚いた。
ラオウお兄さんは、ボディービルダーか格闘家か何かよく分からないけど、とにかくマッチョだ。
小学生の頃、その筋肉を触らせてー!!と言っては、リュウガにほっぺたをつねられた。
(リュウガは、何故かラオウお兄さんのファンだった)
ラオウお兄さんのお嫁さんは、美人で細い人だ。
スラリとしているけれど、胸の大きな人で、桐の目標だった。
でも、体型は同じようにスラリとなったけれど、肝心な胸は育たなかった。
ラオウお兄さんとシュウ小父さんの知り合いの、サウザーさんって人は、もっと凄い。
毎週彼女が変わるのだ!!
このことに、桐は本当に驚いた。
先週会った真っ赤なスーツの女の人は、いつの間にかいなくなっていた。
次にあった時、サウザーさんの横には着物を来たお姉さんがいた。
一夫多妻制について、ネットで検索したぐらいに、ビックリだった。
サウザーさんの部下(何の部下かは知らない)らしい、レイお兄さんは、マミヤさんと婚約してる。
でも、レイお兄さんは妹のアイリさんLOVEで、マミヤさんも呆れていた。
アイリさんは、穏やかな可愛い女の人だが、好きなタイプは暴走族らしい。
「兄さんにはナイショね★」とアイリさんは言っていた。
暴走族がタイプって……と不思議な感覚に陥った桐は、そのことも日記に書いている。
ユダさんっていう、サウザーさんの部下(何の部下かは知らない)は、きっとオカマだ。
だって、女みたいな化粧してるし、髪は長いし、三つ編みまでしてる。
服装も何だか女っぽい。
あ、もしかしたらホモなのかも。
友達のユリアが幼馴染のケンシロウと付き合い始めて、桐は焦った。
何と言ったらいいのか分からないけれど、焦ってしまった。
意味不明な焦り方をして、気がつけば空しくなっていた。
あーあ、せっかくの18歳なのに。
そんなことを思いながら、シュウ小父さんの家でお茶をご馳走になっていたりした。
シュウ小父さんの奥さんは、結婚してからすぐに赤ちゃんが出来ちゃって、でもシュウ小父さんは大満足だ。
恋愛に関しては先輩だろうと、桐が相談すると。
「はははは、全ては運命さ!」
とアホなことを返してきた。
その後、お腹の大きな奥さんに頭を殴られていた。
シュウ小父さんは、他の人より早くボケちゃいそうだ。
ユリアに単刀直入に話そうと思って、久しぶりに彼女の家に行った。
玄関のインターホーンを押したら、中で凄い音がする。
爆発音に近かったり、明らかに何かが倒れたり、壊れたり、割れたり。
そんな音がする。
そして、ドアが開いた。
ドア、開いてよかったな……。
「いらっしゃい、桐!」
見覚えのある顔。
ジュウザだ。
ジュウザは、リュウガとユリアのお父さんが再婚して、相手の連れ子だったらしい。
滅茶苦茶な性格をしていて、リュウガとは違う意味で桐は警戒している。
「ま、上がれよ。兄貴は上にいるからさ」
「ユリアに会いに来たんだけど?」
「あ、ユリアも上にいるからよ!」
しまった、って顔をしたのは、何故だろう?
そう思いながらも、桐は上へ上がった。
ユリアの部屋へ行こうとしたら、ジュウザに止められた。
「あー、ユリアのヤツ、ケンシロウとデートだった!帰ってきたら赤ちゃん抱っこしてるかもな!!」
何でそんなに微妙な下ネタ含ませてくるのか分からない。
しかも面白くない。
「じゃあ、帰るよ。お邪魔しました」
「ちょっと待てって。何か忘れてるだろ?」
「何も」
「いや、忘れてるって」
そう言って、ジュウザはドアを叩いた。
え、叩いたの!?
ドアが開く。
「何だ?」
「兄貴、ほら!桐!」
「ああ、よく来たな」
過去の思い出が走馬灯のように甦る。
ジワリ、と目元に涙さえ浮かんだ。
「か、か、帰ってホットケーキ食べながら、宿題して、電話しなきゃ!」
明らかに不審な動きで、桐は逃げ出そうとした。
しかし、ジュウザに阻まれる。
「ホットケーキは俺の得意料理だぜ!ちょっと兄貴の部屋で5時間くらい待ってろよ!ナニしててもいいからさ!!」
「何で5時間!?ってか、何でジュウザさっきから下ネタ含ませてるのー!?」
ジュウザは笑顔でドアを閉めた。
もう開くことのないドアを見つめながら、桐はこれからどうすべきなのか迷った。
逃げたい。
このままリュウガにイジメられるならば、お仕置きされるならば、逃げ出したい。
「あ、あ、あの、リュウガ、さんッ………」
自分は何も悪くないことを弁解してから、逃げよう。
それがいい。
でも、何処から!?
「久しぶりだな、桐」
すでに社会人になっているリュウガは、桐と会う時間が少なくなっていた。
それも仕方のないこと。
桐は、高校生で今がとても楽しい時期。
いないのは彼氏だけ、そんなところだ。
「あ、はい、お久しぶりですッ………」
「そんなに怯えるな。取って食おうなど思ってはいない。ジュウザじゃあるまいしな」
本当だろうか。
かつての彼は、桐をイジメることが生きがいのような存在だった。
何かあれば、すぐにでもイジメ、お仕置き。
引っ張られたほっぺたの痛さが、今でも目にしみる。
「もう18か?うちのユリアと同い年だったからな」
「はぃ……」
覇気のない声は、恐怖から。
決して犯罪者だとは思わないが、恐い存在ではある。
「学校はどうだ?た、楽しい、か?」
「まぁ、楽しくは……」
「そう、か。その……あの……」
リュウガの照れたような顔は、桐には怒っているようにも見え。
(顔が赤いので)
更なるお仕置きがこの後に待っているのではないか、と思わせた。
(きっとリュウガさんは、私が勉強してないって思ってる!!)←被害妄想。
(私が、勉強してなくて、いつもユリアに宿題見せてもらってるって知ってるんだ!!)
(バラさないでって、頼んだのに!!)
(いや、ユリアはいい子だから、きっとリュウガさんの直感で!!)
桐の頭は爆発寸前だった。
ここが逃げ出せるような状況ならば、すぐにでも走り出すところだろう。
しかし、場所が悪い。
何故なら、ここはリュウガの部屋。
リュウガの家なのだ。
「桐、話があるのだが」
「ひょえい、何ですか!?」
「……大丈夫か?」
「だ、だい、大丈夫だと思われまする!!」
これ以上ボロは出せない。
出せばそこを突っ込まれる。
絶対に!!
「これをやる。好きだったろう」
手の中に落ちたのは、いちごミルク。
キャンディーだ。
子供の頃から、桐が好きだった。
リュウガは、何故かいつもこのキャンディーを持っていて、泣いている桐にくれたのだ。
このいちごミルクを3個も食べれば、桐は泣き止んでいた。
「子供の頃、お前はなかなか泣き止まなかった。これを食べた時だけ、泣き止んで……」
「そ、そーでしたっけ……?」
「だから俺は、お前と一緒にいる時は必ずこれを持っているようにしたんだ。お前はすぐに泣くからな」
誰のせいだ、というのは置いといて。
桐は、リュウガのこの言葉に少しだけ胸を動かされた。
彼は自分を見てくれていた。
幼い日から、ずっと。
ずっと。
「リュウガさんって、やっぱりいい人だったんですね」
ニッコリと微笑む桐は、温かく、可愛らしかった。
ユリアとは違う意味で可愛い、と誰もが言う。
その意味が、桐には分からない。
ユリアは、まさに女の子で、可愛くて、温かい。
長い髪にリボンをつけて、いつもスカートが似合っていた。
でも、桐は違う。
リボンなんて柄じゃないし、スカートも履くけれど、ちょっと間違うと大変なことになる。
ロングスカートは似合わないし、お嬢様なんて雰囲気じゃない。
だから、自分はずっと可愛くないと思っていたのだ。
彼氏もいないし。
「桐……」
「あーあ、リュウガさんの彼女だったら、素敵なお嫁さんになれるんだろうなぁ」
「桐、俺は………」
「私、決心しました!!リュウガさんみたいにカッコイイ人で、優しい人を探します!!」
そう叫んで、桐は立ち上がった。
颯爽と笑顔で部屋を出て行く。
「リュウガさん、お邪魔しました!」
リュウガが止める暇なく、桐は去っていった。
階段を下りながら、ニコニコ笑顔の桐はキッチンで凄まじい音を立てているジュウザを発見した。
慌てまくっている背中を哀れに見つめてから、玄関へ。
「お邪魔しましたー」
礼儀正しく、大きな声で言う。
フライパンを握ったジュウザが急いで出て来た。
ユリアのエプロンだと思われる、ピンクのエプロンをしていた。
「ちょ、待てよ、桐!お前、兄貴と決着つけたのか!?」
「決着……?」
「ってか、ちゃんと話進めろよなー、馬鹿リュウガ!せっかく俺がお膳立てしてやったっつーのに!」
「あ、ジュ、ジュウザ、その、あの………」
桐はジュウザの後ろから来るブリザードを感じていた。
凄まじく怒っているリュウガの顔は、よく知っている。
その顔が、今、そこにある。
「あ、にき?」
「お前はキッチンで片づけをしておけ。ついでに、それはユリアのエプロンだ!!俺が誕生日に贈った物だ!!」
エプロンを弟から剥ぎ取って、その弟をキッチンへ押し込む。
ユリアのエプロンは丁寧にたたんで、片付けていた。
そんなに妹が好きなのかー、レイお兄さん並みだなー、と桐は思う。
「桐、単刀直入にはっきりという」
「えッ、な、何ですか!?」
そんな風に言われたら、恐いじゃないか。
桐は身構える。
ほっぺたつねりぐらいじゃすまないだろう。
ゲンコツが来るかもしれないし、説教の嵐かもしれない。
恐いことばかりを考えていたら、何かに抱きつかれた。
目を瞑っていたので、ソッと開く。
「リュ、リュウガ、さん!?」
リュウガに抱きつかれていたのだ。
驚いてバタバタしてしまったが、相手は全く動じない。
「お前のことが、好きだ」
「ひぇぇ!?」
漫画見たいな声が出た。
あまりにもびっくりしすぎて。
「そ、その……子供の頃から好きだった」
「そ、そんな嘘のサプライズいりませんってば!!」
「嘘ではない!いつも構っていたじゃないか………」
恥ずかしそうにリュウガの頬が染まった。
「え、あれって、つまりスキンシップだったんですか………?」
「遊んでやったし、宿題も見てやったじゃないか。怪我をした時は背負ってやっただろう?」
それプラス、ほっぺたをつねられたり、小言を言われたりしていたのは、
リュウガ自身にとってはスキンシップか些細なことだったのだろう。
人間って、こんなに感覚の違いがあるんだ……と桐は正直に思った。
「………返事は、もらえるか?」
「え、あ、そ、それはッ!!」
もちろんイエスと言いたかった。
しかし、言おうとしたその瞬間。
玄関のドアがドーンッと開いた。
「リュウガくーん!ジュウザくーん!我が家に可愛い息子が誕生したんだよーぅ!!!!」
「シュ、シュウ小父さん!?」
「シュウさん……?」
何てタイミングの悪い男なんだ!とリュウガは思った。
桐の返事はすでに見えていて、後ははっきりと言葉として聞くだけだったのに。
それなのに、この男の乱入によって止まってしまった。
「桐ちゃんもいたのか!聞いてくれ、私もついにパパなんでちゅよー!!」
「シュウ小父さん、私に赤ちゃん言葉は結構です」
幸せそうなシュウに、桐は砂を吐きそうな勢いだった。
リュウガは明らかにイライラしている。
「2人もついに告白みたいだね!結婚式の時は是非ともサウザーに言うといいさ!彼はレンタル神父をしているからね!!」
「えーッ、サウザーさんってレンタル神父なんですかぁ!?」
見た目が似合うから、らしい。
大体は結婚式場のオーナーみたいです。
「あれ、でもシュウ小父さんなんで告白の………」
そこまで言って、桐は顔を真っ赤にした。
急に恥ずかしくなってきたのだ。
「小父さん、耳は凄くいいからね。おっと、では私の大切な奥さんと息子のところへ戻らねば!!」
シュウは出て行った。
嵐のような男だった。
迷惑な男だ、とリュウガは思う。
「まぁ、結婚式の時はサウザーさんに頼むか、桐」
「そ、そうですね………って、本気なんですか、リュウガさん!?」
「俺は、お前と結婚する以外に選択肢は用意していない」
「ええーッ!?」
そんなこんなで、現在に至る。
現在、2人はとても幸せそうなカップルだ。
金づるになる、とサウザーが目をつけているくらいである。
(結婚式場で一番高いプランを押し付けるつもりらしい)
「リュウガさん!今度のデート、ここに行きましょう!ネズミーランド!!」
「………馬鹿かお前は。そんな子供騙しのところへ行ってどうする」
「えー、だってシュウ小父さんもラオウお兄さんも家族で行って、楽しかったって!!」
参考にする相手が悪い、とリュウガは思う。
シュウは根っからの家庭人だし、ラオウもああ見えて、家族を大切にしている。
だから、家族に行きたいと強請られれば連れて行くだろう。
自分の楽しさよりも、家族の方が大切。
でも、リュウガはちょっと違うわけで。
まだお年頃の20代なので、デートは彼女と楽しみたい。
「子供が生まれたら、連れて行く」
「えー、どれだけ先の話ですか、リュウガさん……」
「1年もあれば行けるんじゃねーの?」
遠くから叫んだのはジュウザだ。
「うるさいぞ!ジュウザ!!」
「だったら家でデートすんのやめろよな!!」
デートへ行く先を決めるのに喧嘩してしまうことが多いので、2人はお家デートが主流。
そこに居合わせてしまうのがジュウザだった。
「ったく、何で5回に3回はお家デートなんだよ!!」
「コイツが悪い」
「えー、絶対にリュウガさんですよ!買い物は駄目、遊園地も水族館も駄目って!」
「博物館や美術館はお前が嫌だと言ったじゃないか」
「そ、そういうレベルの高いデートコースは嫌ですよぉ……」
そう言いながら、イチャイチャしている2人なのだ。
ジュウザは、自分が自室へ退散するしかないことを知っている。
リビングのテレビの前は、2人のデートスポット。
(主に、DVD鑑賞が多い)←しかも2人共趣味が違うのでDVD山積み。
リュウガは、自分の腕の中にすっぽりと入ってしまう桐を抱えながら、DVDを見る。
それが一番幸せなことだと気づいていた。
桐は、自分をすっぽりと包んでしまうリュウガの腕の中で、DVDを見る。
それが一番幸せなことだと気づいていた。
喧嘩も多いし、小言も多い。
まだたまにはほっぺたをつねられる。
つねり返してもビクともしないけれど。
それでも、2人は一緒にいる。
END
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現代版北斗パラレル。
ちなみに簡単な設定の説明を。
■ヒロイン:18歳(高校生)*あんまり勉強してないけど、実際は頭がいい。
■リュウガ:27歳(社会人)
■ジュウザ:22歳(フリーター)←ほとんど家にいる。
■ユリア:18歳(高校生)←家の中で最強。
■ラオウ:28歳
■ケンシロウ:18歳(高校生)←実はユリアの尻に敷かれている。
■シュウ:36歳
■サウザー:37歳(結婚式場オーナー兼レンタル神父)
■レイ:20歳(結婚式場スタッフ)
■ユダ:20歳(美容師)←オカマじゃないです。
■マミヤ:22歳
■アイリ:19歳
ラオウやシュウは意外に職業を考えてなかったな~。
リュウガは特定の仕事はまだ考えていないのですが、研究所とかで白衣を着ていても似合うかもしれませんね。
医者とかにするとトキと被っちゃいそうだし、イケメン先生って感じで人気が出すぎるだろう!
トキが出てきていませんが、死んだわけではないです。
ただ単に、出せなかっただけ……(泣)
もっとたくさんキャラを出したかったのですが、難しかったです。
リュウガがレイ並みにシスコンで、ユリアを可愛がってて、それでヒロインも好きって感じです。
妹も彼女も大切だ!って人間ですよ。
月見里キナコお姉さんに捧げます!!
2008.08.25
いえっさ、頂きましたともー!!
ほんと、ラブラブな2人に感涙です…!
パラレル、いいですよね…!!