会場のど真ん中でワインを飲んでいるのは、俺様何様サウザー様だ。
定番の「今日のは口に合わぬ!」が見られるかと思いきや、存外に上機嫌らしい。
ワインが美味しいのかな、と近づいてみれば、その俺様サウザー様が私に気づいてこちらを見た。
「か…遅かったな。てっきり着ていく服が無くて来られぬのかと思ったわ。
しかしこの俺様が出席しているというのに貴様が遅れるとはそういう了見だ?
俺を差し置いて僕の分際で…まあいい、管理人からメモを渡されたからな、読め」
いやいやあなたが読むんじゃないんですか、って言うか随分と失礼な言葉を聞いた気がするんですが。
ツッコみたい箇所は山ほどあるけれど、わたしは「まぁサウザーだし」ということであえて流した。
うん、大人の対応だ。わたし偉い。
メモには「さんに10000HITの感謝を込めて、今日はゆっくりしていってください、と言いましょう。秘訣は素直になること!」と書かれていた。
思わず苦笑すると、サウザーが私を見た。
「…なんだその顔は。
この帝王にそんなバカなメモを渡す月見里が悪いのだぞ。
…まぁ、いい。今日は気分が良いからな、特別に貴様に俺がワインをくれてやろう」
いやそれパーティー用に用意されたやつであなたのじゃないでしょ、と呟くと、サウザーは拗ねたような顔をした。
「文句を言うな。この俺様にワインを注がれることに感謝しろ。
…それと…だな」
「?」
「一応、俺がこんなことをしてやるのは貴様だけだからな。よく覚えておけ、愚民め」
偉そうなことを言っているくせに、サウザーの少し頬は赤くなっている。
それを見て噴き出しそうになりつつ、私はグラスを手にし、サウザーと二人でゆっくりとワインを楽しんだ。
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ふう、いい気分。少し風に当たってこよう。あれ?あれは…
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