博愛主義者だと思ってた。

言われて初めて、自分は他人からそんな風に思われていたのかと知る。
別段、そんなつもりで誰かに優しくしていたつもりはなかったし、ただ弱い人を見ると手を貸したほうが良いだろうと思って力を振るう、それだけのこと。

「思ってた、ということは過去形なのか?」
「過去形よ。あたしを取った時点で、過去形」

テーブルについてコーヒーを飲みながらが答えた。
それはそうだ、確かに。
小さく声を上げて笑うと、天邪鬼な恋人は僅かに頬を染めて顔を背けた。彼女が照れた顔を隠そうとするのは、自分が好きな仕草の一つだ。素直すぎる彼女など、それは最早彼女ではない。

「後悔してる?」
「いいや」

振り返るつもりはないよ。君の手を離すつもりも。

言ってみるとなかなか恥ずかしい台詞だと思ったのは自分だけではないようで、はものの見事に茹蛸のようになって、バカじゃないの、と毒づいた。

このやりとりがこのままずっと続けばいい。

日常が、終わらなければいい。


だから、



零れ落ちないで、どうか。



きみをまもりつづけたいんだ

掬いあげて、して



青薔薇の二人はなんだかんだでらぶらぶだったりするっていう自己満足設定。