どうせだから他の人にも会いたい!
ちょっとした罪悪感を感じつつ一人で会場の大広間に入ると、すぐ近くにいた男が私に近づいてきた。
両目の上を走る六筋の傷痕。
一部では「Mじゃない?」とか噂されているけど、とにかく善人である事は間違いない南斗白鷺拳のシュウだ。
私がどう声をかけようかと戸惑っていると、シュウが先に口を開いた。

「来てくれたか。待ちくたびれたよ、さん。
急な招待だったのに、受けてもらえて良かった。
貴方に会えるかもしれないと聞いて、とても楽しみにしていたのだ。
いや勿論、他の連中も楽しみにしていたが…ごほん。そ、それはさておき。
いつもこのサイトに来てくれてどうも有り難う。
感謝はいくらしても足りない。
拙い文章ばかりだが、管理人はこれからももっと精進すると言っているから、どうか末永く付き合ってやってくれ」

シュウはそう言うと、私の肩に軽く手を置いて優しい笑みを浮かべた。
広間にはまだ何人かが談笑しているのでそちらにも挨拶に行こうと思って、頷いてシュウのところを後にしようとしたとき、彼が声をかけてきた。

「…さん、その」
「?」
「今度、良ければ息子に会ってくれないか。その、私が話したら貴方に会いたいと言って聞かないのだ。それで…あ、いや!別におかしな意味はないのだ!ほ、本当に!」


照れくさそうなシュウの表情に思わず頬が緩み、もちろんいいですよと答えると、彼も嬉しそうに口元を綻ばせた。
その笑顔を後にして、私は広間をきょろきょろと見渡した。

あれ?あそこでワインを飲んでいるのは…

ん?バルコニーに人影発見。突撃!