全く、レイったらなんて事を言うんだか…顔が真っ赤になってしまった。
火照った顔のままで会場に入るのもなんだし、少し静かな部屋で落ち着いていこう。
頭を冷やすため、大広間の前に並んだ部屋の一つが空いていたので失礼して入っていく。
中を見回すと、誰も居ないようだ。
安心して気分を落ち着けられる。
適当に置いてあった椅子に腰掛けたその時、誰かが部屋の電気をつけた。
「!!」
「?なんだ、。こんな所で何をしている」
突然の闖入者はユダだった。
派手な赤毛を見事にセットして、相変わらずの濃いメイクで完璧に化粧をしてきている。
なんだか彼を見ていると自分が女として負けているような気が…いや、あれは男だ、そう男。
一人で百面相をしているのがおかしかったのか、ユダは肩を竦めて私に近づいてきた。
「会場に来ないと思えばこんな所でかくれんぼか?
お前は本当に面白いやつだな。
ふふ、俺も少し疲れてきたところだ、ここで休ませて頂こう。
そうだ、管理人がお前に感謝していたぞ。
いつも来てくれてどうもありがとうございます、だそうだ。
俺もお前が来るのは嫌じゃないし、これからも逢いに来るがいい。
しかし…」
ユダは言いたいことを一気に言ってから、私のほうに歩み寄ってきた。
何を言われるやらと身構えていると、ユダの手が私の髪を一房絡めとった。
てっきりドレスのダメ出しでも食らうのかと思っていたから、びっくりして見上げると、ユダが満足そうな顔で笑った。
「今宵のお前はいつにもまして美しいな…。さしずめ美の女神アフロディテのようだ。…どれ、これからは俺の隣で美しく笑ってはくれまいか…?」
「!!!」
せっかくレイの所為で上がった熱が下がったところなのに、また熱が上がってしまった。
おろおろしていると、ユダはするりと私から離れて、部屋を出る前にこちらを振り向き言った。
「フッ、安心しろ、俺は美しいものには手は出さぬ。気が向けば来い。
今宵の宴は存分に楽しんでゆけ」
颯爽と部屋を出たユダの背中を見送ると、私はへなへなとその場に座り込んでしまった。
再び落ち着きを取り戻すまで、結局私はその部屋から出られなかった。
ああびっくりした。さて、気を取り直して会場へ
ついでに庭でも見てみよう。あれ?あそこにいるのは…
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